2012年7月23日(月)
被災者の医療費
窓口負担免除 継続希望9割
保険医協会調べ
自己負担なら 通院我慢4人に1人
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「医療費が1カ月1万円かかるので、9月までは安心ですが、これから先とっても不安です」―。岩手・宮城両県の被災者への医療費窓口負担免除(国保、後期高齢者、協会けんぽ)の期限が9月末とされていることにたいし、患者、医療関係者の間で延長・継続を求める声が広がっています。
宮城県保険医協会は免除措置継続について患者の意向をアンケート調査(5〜6月、794件回収)。
91%が免除の継続を求めています。回答者の6割を超える人が声を寄せ、免除で「生活上の不安要素の一つが改善されている」「医師にみてもらうことで早くに復興に向けての気持ちを持つことができた」、「1、2年で復興は難しい。3〜5年のスパンで考えてほしい」などとのべています。
免除により「医療機関にかかりやすくなった」と答えた人が全体の78%を占め、その9割が、免除前は「なるべく受診回数を控えていた」「受診を我慢していた」ことが明らかになったとしています。
岩手県保険医協会は県全域で、免除措置を受けて通院している患者を対象にはがきアンケートを実施(5月〜6月末まで、3020枚回収)しました。
10月から自己負担が発生した場合の受診について聞くと「これまで通り通院する」が7割。一方、4人に1人が「通院回数を減らす」「通院できない」と答え「分からない」と合わせると3割です。
これまでどおり通院できない理由でもっとも多いのは「医療費の負担」(72%)。「収入がない」「家を建てる費用に回したい」「交通費が負担」と続きます。「変調が表れてから病院にいくことになる」「仮設を出て家賃を払って生活するには9万円弱の年金では生活できない」などの訴えがびっしりと書き込まれています。
通院の病名では高血圧(31%)、歯科疾患(19%)、糖尿病(8%)などが多いため、同協会は「高血圧、糖尿病は定期的な管理が必要な病気です。長引く仮設住宅暮らしなどでストレスが増加し、高血圧の患者が増えているという情報もあるなか、定期的な受診ができなくなることは命にかかわる重大な問題」と指摘します。
「これまでどおり通院する」とした人も、決して金銭的に余裕があるからではなく「薬が必要だから」「通院しないと命にかかわるから」との声が多く、医療費免除の継続を望む意見が多く寄せられました。
全国保険医団体連合会(住江憲勇会長)は12日、野田首相らにたいし、被災前の生活に戻るまで免除措置を延長・継続し、費用は国が財政措置を講じることなどを求める緊急要請を行いました。
(西口友紀恵)
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