「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年7月22日(日)

消費税増税 被災地から批判の声

住宅・病院再建に大打撃

対策示さぬ3党合意

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 野田政権が狙う消費税増税に対し、東日本大震災の被災地から「復興に逆行する」と批判の声が上がっています。復興の現状から問題点を見てみると―。

 仙台市の女性(54)は津波で自宅が流失し、防災集団移転促進事業で移転を考えています。

地価は3〜10倍

 女性は消費税増税について「移転候補地の地価は以前の約3〜10倍もします。家財道具もすべて買わないといけない。移転してどうにか前向きに頑張っていこうと思っていたのに、増税なんて許せません」と憤ります。

 住宅再建の見込みは、岩手県約9500戸、宮城県7万2千戸。福島県は推計もできていません。1001戸の集団移転事業を計画している仙台市の奥山恵美子市長は、事業のほとんどが増税後の実施となるため、「(増税)執行の先送りなり、何らかの手当てがあってしかるべき」だと求めています。

 宮城県気仙沼市の男性(48)=建設業=も「10%になれば住宅再建をあきらめる人がもっと増える。もし、かけこみ需要が起きても大手に仕事を取られ、増税後は反動減で仕事がなくなります。こんな時期に増税はやるべきではない」と話します。

 消費税増税は東北3県で年間5600億円。これまで3県に配分された復興交付金約5000億円を超える額です。

 日本共産党の塩川鉄也議員は6月5日の衆院社会保障・税特別委で、集団移転の大部分が増税後になるとして「増税が立ちはだかり、被災者支援、復興に逆行する」と述べ、増税撤回を迫りました。

機能取り戻せず

 安住淳財務相は「特段の配慮を検討する」と答弁。自民・公明両党は質問で、「政府の対応は不十分。何か手当てする考えはないのか」(自民・谷公一氏)、「消費税5%の間に住宅が(再建)できるのか危惧する。対応していただきたい」(公明・西博義氏)と注文をつけていましたが、「3党合意」の法案には具体策は盛り込まれてはいません。

 3県では2469の病院・診療所が被災。そのうち179が、いまだに震災前の機能を取り戻せていません。

 病院一つが全壊した宮城厚生協会の長澤清光専務理事(61)は、「ベッド数140床の中小病院を再建するには20億円かかる。それに消費税増税がかかれば大打撃。傷口に塩を塗るようなものです」と批判します。

 医療費は非課税ですが、医療機器や建物建設などにかかる消費税は、医療機関が自己負担(損税)しているのが実態です。日本共産党の佐々木憲昭議員は、医療関係者は非課税措置を求めていると追及。小宮山洋子厚労相は「検証の場を設置し、診療報酬の中で対応を考える」と述べ、欠陥を認めました。

 長澤さんは語ります。「医療機関の負担軽減や、医療費の窓口負担免除の継続など、安心して病院にかかれるよう援助することこそ必要です。地域医療崩壊に拍車をかける消費税増税はやめるべきです」 (前野哲朗)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって