2012年7月22日(日)
伊方原発上空飛ぶ危険
オスプレイ 普天間〜岩国間で訓練
88年 間近に米ヘリ墜落
原子力発電と、墜落事故が相次ぐ米海兵隊の垂直離着陸機オスプレイ。悪夢のような組み合わせが、現実になる危険があります。24年前には、伊方原発上空を飛行していた米海兵隊ヘリが、同原発から800メートル先に墜落するという事故も起こっていました。(竹下岳)
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1988年6月25日午前10時10分。視界20メートルの濃霧に包まれた佐田岬半島の北側斜面に、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属のCH53Dヘリが激突しました。そこは伊方原発(愛媛県伊方町)のほぼ真上でした。現場を歩くと、その「近さ」に慄然(りつぜん)としました。
機体は強い衝撃で跳ね返り、山頂を越えて南側斜面を200メートルほどずりおちて大破。乗組員7人は全員死亡しました。
「機体が跳ね返らなかったら、原発敷地内に落ちて大惨事になっていた」。現場に急行した日本共産党の中川悦良県議(当時)は、こう証言します。
海兵隊は非常線を張り、中川さんたちも中に入ることはできませんでした。「これが日米安保の壁か、と感じました」
この事故は過去の問題ではありません。佐田岬半島上空は沖縄と岩国基地(山口県岩国市)を結ぶ「ルート」になっており、88年の事故後も、普天間基地に所属する海兵隊ヘリの不時着や目撃情報が相次いでいます。(表、愛媛民報社まとめ)
米海兵隊はオスプレイを普天間に配備した後、岩国基地に2〜3機からなる分遣隊を置き、10月以降にも毎月訓練を行う計画です。そうなれば、沖縄〜岩国間の往復や訓練などで伊方原発近辺を飛行するのは確実です。
また、FA18戦闘攻撃機も九州方面から佐田岬半島を越えて岩国へ飛行する姿が何度か目撃されています。19日午前、曇天のため機影は確認できませんでしたが、記者も岩国方面へ抜けるジェット機の音を聞きました。
原発の増設も続きました。88年当時、伊方原発の原子炉は1、2号機だけでしたが、現在は3号機が立地。しかも同機はウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料を使用するプルサーマル運転を行ってきました。岩国基地に近い上関原発(山口県)の建設計画も依然、続いています。
「伊方等の原発をなくす愛媛県民連絡会」の和田宰代表幹事は、「原発は上空から目立つので、訓練の標的にされやすい。低高度でトラブルが発生したとき、安全に着陸できない欠陥機・オスプレイの配備は絶対に許されない」と訴えます。
伊方原発周辺の米軍機事故
79年12月 保内町(現・伊方町) 保内中学校庭にAH1Jヘリ(普天間)2機不時着
81年3月 保内町 保内中学校庭にAH1J(同)不時着。3日間駐機
84年4月 三崎町(現・伊方町) AH1J(同)が建設会社敷地に不時着
88年6月 CH53Dヘリ(同)が伊方原発至近に墜落。7人死亡
89年6月 野村町(現・西予市) FA18戦闘攻撃機(岩国)が野村ダムに墜落
00年4月 三崎町ムーンビーチ AH1Wヘリ(普天間)が不時着。僚機2機も着陸
08年7月 MC130特殊作戦機(嘉手納)が八幡浜市などで超低空飛行
12年3月 松山空港にCH53Eヘリ(普天間)4機が緊急着陸