2012年7月19日(木)
生活保護 控訴審も勝訴
東京高裁 新宿 ホームレス裁判
改悪の動きにくさび
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東京都新宿区内で2008年当時にホームレス状態だった男性(61)が、同区に対し生活保護申請却下処分の取り消しと生活保護開始決定の義務付けを求めて提訴した「新宿七夕訴訟」の控訴審判決が18日、東京高裁(春日通良裁判長)でありました。
春日裁判長は、生活保護の申請却下処分の取り消しと居宅保護による生活保護開始決定の義務付けを命じた一審判決を認め、同区の控訴を棄却しました。
争点は、生活保護法4条1項の「稼働能力活用」の要件を満たしているか否かでした。
同区は、男性は働く能力があるのに機会を得る努力をしておらず、支給要件を満たさないと主張。原告側は「生活保護を受ける権利は、憲法25条1項に定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を生活保護法によって具体化した」ものと指摘。生活保護法4条1項は「憲法上の権利を制約するものに当たる」として、その行使は「必要最小限度のものであること」が憲法上必要だと強調。4条1項を理由に生活保護申請を却下処分することは「憲法25条1項に違反する」と主張していました。
宇都宮健児弁護団長は「民主、自民、公明の3党合意で社会保障や生活保護の改悪をねらう中で、司法は的確な判断を示し、こうした動きにくさびを打ち込んだ」と評価。「政治はこの判断を謙虚に受け止めるべきだ」と強調しました。
判決が出た直後、法廷内は支援者らの大きな拍手に包まれました。原告の男性は「ほっとした」と笑顔になりました。判決後の会見で、男性は「勝訴が、生活保護を望む人の励みになればいいな」と話しました。