2012年7月18日(水)
志賀直下も活断層
保安院「可能性高い」
立地不適格なら廃炉に
経済産業省原子力安全・保安院は17日、各地の原発敷地内の断層について専門家による意見聴取会を開き、北陸電力志賀(しか)原発(石川県志賀町)1号機の原子炉建屋直下を走る断層が、活断層である可能性が高いと発表しました。原発の耐震安全審査指針は、13万〜12万年前以降に活動した可能性を否定できない断層を活断層とし、その上には原子炉建屋など安全上重要な施設は建てられないと規定しています。今後の再調査で「立地不適格」として廃炉の可能性が出てきます。
保安院によると、問題となったのは1号機原子炉建屋の南西角を走る「S―1断層」。保安院は1988年の1号機設置許可や、2009年の耐震指針改定に伴う2号機の再評価(バックチェック)中間報告などの際、「活動性はない」とした北陸電の報告を妥当としてきました。
しかし、東日本大震災を受けて全国の原発敷地内の断層の再評価を進める中で、当時の掘削調査結果を調べ直したところ、13万〜12万年前以降に活動したと疑われる形跡が見つかったといいます。
北陸電は「S―1断層に限らず、小さな断層が敷地内にあることは以前から確認している。活動性が問題になるものではないと評価しており、国からも判断をいただいている」としています。
原子炉建屋直下の断層をめぐっては今年4月、保安院が日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)で同様の指摘をして再調査を指示。関西電力美浜原発(同県美浜町)などでも再調査が必要との見解を示しています。
志賀原発 北陸電力が石川県志賀(しか)町に建設した原発で1号機は1993年7月に、2号機は2006年3月に運転開始。1999年、1号機の定期検査中に制御棒が外れ、核分裂が連鎖的に起きる「臨界」に達する事故が発生。事故は8年間隠されました。2006年3月、金沢地裁が、2号機の運転差し止めを命じる判決。原発の北約9キロメートルにある富来川(とぎがわ)南岸断層が活断層の可能性あると専門家が指摘しています。
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