2012年7月18日(水)
主張
欠陥オスプレイ
安保優先の配備強行するな
墜落事故が相次ぐ米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイを、山口県の岩国基地に先行搬入したうえで沖縄県の普天間基地に配備するという日米両政府の計画に反対する動きが、沖縄でも本土でも爆発的に広がっています。
沖縄では県議会や県内41市町村の議会と首長すべてが配備に反対し、8月5日に県民大会を開きます。山口県でも県議会や岩国市議会と首長が搬入に反対し、22日にも市民が反対集会を開きます。米軍基地のある14都道県からなる渉外知事会も地元の意思を尊重せよと政府に申し入れています。政府は配備強行をやめるべきです。
事故は場所を選ばない
オスプレイの配備が普天間基地がある沖縄だけでなく、低空飛行訓練が予定される日本列島の北から南まで全国で住民の生活を脅かし、墜落の危険をもたらすことはいよいよ明らかになっています。
オスプレイは開発段階から墜落事故をくりかえし、実戦配備が始まった2005年以降も10年にアフガニスタンで、今年に入って4月にアフリカ北部のモロッコで、6月には米国のフロリダで墜落を重ねている危険な欠陥機です。今月9日には機体のトラブルで米国南部の民間飛行場に緊急着陸しています。いつどこで落ちるかわからないのがオスプレイです。墜落の場所を選ばないオスプレイを沖縄県民や本土住民が受け入れられるはずはありません。
オスプレイはヘリ機能と固定翼機能をあわせ持っていますが、特に危ないのはヘリとして飛ぶときです。普通のヘリは飛行中にエンジンが止まっても、機体の降下による空気の流れでプロペラを回し、浮力を得て着陸できるオートローテーション機能をもっています。しかしオスプレイにはその機能がありません。
オスプレイの開発に携わったレックス・リボロ氏はオートローテーションについて「実証のための試みもされていない。危険すぎると考えられたからだ」(13日付「しんぶん赤旗」)とのべています。安全が実証されていないのに、オスプレイが「緩やかに降下する」(森本敏防衛相)とのうその説明で配備を強行するのは許されません。
オスプレイ積載の米国の車両運搬船は24日にも岩国基地に着く予定です。日米両政府は国民の反発を恐れ試験飛行は当座行わないとしていますが、ほとぼりが冷めたら試験飛行にふみきり、普天間基地に配備する計画です。
オスプレイが配備される普天間基地は住宅密集地のなかにある「世界一危険」な基地です。そこへ「世界一危険」なオスプレイを配備するのは許されません。日米両政府はオスプレイの持ち込みと配備計画を中止すべきです。
安保なくす方向でこそ
米政府はオスプレイ配備を「日米安保条約にもとづく権限だ」といい、日本政府も受け入れを「安保条約上の義務」だといっています。しかし、それなら安保条約そのものをなくせということになります。沖縄の琉球新報社説は県民大会開催を「日米安保崩壊への警告だ」と書き、愛媛新聞は「オスプレイ配備中止し安保見直す契機に」と書いています。
安保をたてに配備を押し付けるのではなく、配備を中止し、日米安保条約をなくしていくことこそ、根本的な解決への道です。