2012年7月10日(火)
謀略現場に記念碑
菅生事件60周年記念集会
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1952年の謀略・えん罪事件菅生(すごう)事件を語り継ごうと、大分県竹田市で8日、事件から60年を記念する集会が開かれました。菅生事件60周年記念事業実行委員会の主催。約120人が参加しました。
阿部浩三会長が6月に事件のあった旧駐在所跡地前に記念碑を建てたことを報告。「故人となったすべての関係者への鎮魂と再び権力による謀略、暴行、弾圧、えん罪は許さないとの誓いを込めた。事件は絶対に風化させてはならない」と訴えました。
元被告の阿部定光さん(85)や主任弁護士を務めた故清源(きよもと)敏孝氏の孫娘、清源万里子弁護士らがあいさつ。阿部氏は「警察のウソを次々と暴き、裁判所に認めさせた意義は大きい」と指摘。清源氏は「罪なき人々が権力に立ち向かった事実を伝える事業は大きな意味を持つ」とのべました。
ノンフィクション作家の坂上遼氏が「権力犯罪を暴いた市民・弁護士・マスコミの力」の題で講演しました。
被告たちの支援を続けた山本澄(すみる)さん(87)=竹田市=は「橋下・維新の会などの右傾化の動きがあの頃と重なって見える。そういうときだからこそ記念事業は意味があると思う」と語りました。
菅生事件 1952年に大分県直入郡菅生村(現竹田市菅生)で起こった現職警察官による自作自演の駐在所爆破事件。共産党員2人が現行犯逮捕、3人が別件逮捕されました。一審大分地裁は全員を有罪と断定。被告弁護団の調べで事件直後に行方をくらました市木春秋(本名・戸高公徳)という現職警察官の存在と警察による謀略が明らかになり、58年に福岡高裁が無罪判決、60年に最高裁で全員の無罪が確定しました。事件の背景には、当時の農地政策や九重・久住・阿蘇地域の米軍射爆場への接収計画などに反対する住民・農民運動の高まりがありました。