2012年7月6日(金)
津波くる情報 全電源の喪失
作業員に知らせず
3・11事故直後
5日、東京電力福島第1原発事故の報告書を公表した国会の事故調査委員会は報告書本編と合わせて、昨年3月11日に同原発に働いていた東京電力と関連会社の従業員2415人に対して、避難など情報伝達、作業環境などに関するアンケート調査結果を紹介しています。
それによると、3月11日時点で、避難せずに残った関連会社の従業員に対して、原子炉が危険な状態であるという説明はほとんどなされなかったといいます。東電の従業員は、避難した人の8%、残った人の47%が説明を受けていました。
東電の元請けの従業員はアンケートに対して「われわれ末端の作業員には、全交流電源を喪失という情報などは全く流れてこなかった。20キロ圏内に緊急的な避難指示が出ていることすらテレビの情報から得た」と答えています。
また1次下請けの従業員は「当日、1号機の中で仕事をしていました。地震があり、外へ出ようとしましたが、人が多くて出られず、敷地へ出ても2時間出られず、その間津波がありましたが、津波があったという放送などはなく、今思えばとてもこわい話です」と述べています。
事故収束の作業に関わった従業員の多くが、事故発生時に作業に従事することを事前に説明されず、また同意なく従事せざるを得なかった従業員もいたといいます。とくに元請け、1次下請け以下の従業員の約90%は事前の備えがなく、事故対応に従事しています。
事故収束の作業では、線量計の不足など放射線の被ばく管理に問題があったとする声が多数寄せられたといいます。
東電の社員は「免震重要棟の線量も高かった。しかし、なすすべがなく、頭の中で自分の被ばく線量を試算するしかなかった。内部被ばくは明らかだった。何の援助も外から得られず、福島第1発電所は完全に孤立し、見捨てられたと思った」といい、別の社員は「働く職員に対して具体的な放射線量が示されず、常に身の危険を感じていた」といいます。