2012年7月5日(木)
きょうの潮流
かつての社会党委員長、村山富市氏は、小沢一郎氏と1度だけ会話らしい会話を交わしたといいます。2人が「非自民」の細川内閣を与党政治家として支えていたころです▼新聞に、小沢氏がイギリスに行くと報じられていました。会合で一緒になり、村山氏が「いつお立ちですか」と聞きました。「まだ決まっていません」と小沢氏。「ああ、そうですか」と村山氏。ところが小沢氏は、翌日旅立ちました▼人に「?」とよく思わせる小沢氏の、人物像を物語る話です。民主党を離党し除籍される小沢氏は、自身四つめの新党をつくります。小沢氏らの行き先は、決まっているのでしょうか▼さて1994年、消費税を今の5%に上げると決め、法案を通したのが村山氏の内閣でした。社会党は小沢氏らと別れ、自民党中心の連立政権に入っていました。やがて村山氏は、首相の座を自民党の橋本龍太郎氏にゆずります。自民党は、社会党を利用する形で与党に戻ったうえ政権を取り返し、増税を実施しました▼いま、当時を思い起こさせます。自民党は、消費税増税の3党合意を民主党に結ばせ、合わせて民主分裂を誘う。民主の力をそぎ、総選挙で第一党への復帰をねらいます。自民党にとって、3党合意と民主分裂は、あの社会党のとりこみ同様、政権取り返しへの布石、しかけなのでしょう▼それが分かっていても、自民と談合する民主党。党利党略の増税勢力にひとあわ吹かせたい。古い政治を拒む人々の声はこんなにも大きいのだ、と。