2012年7月4日(水)
主張
オスプレイ配備通告
米国の「使い走り」許されない
森本敏(さとし)防衛相が沖縄、山口両県を訪れ、事故が相次ぐ危険な米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイを山口県の岩国基地経由で沖縄県の普天間基地に配備するとの米政府の通告を伝えたことに、米国の「使い走りか」と怒りの声が噴きあがっています。
仲井真弘多(なかいまひろかず)沖縄県知事は「事故を起こして安全性に疑問が持たれているものを押し込んでくることには断然拒否するしかない」と怒りをあらわにしました。二井関成(にいせきなり)山口県知事も先行搬入を拒否しています。政府は国民や自治体の声を最優先にし、米政府に配備中止を求めるべきです。
「権限ない」は通らない
オスプレイは4月にアフリカ北部のモロッコで、6月には米国のフロリダで墜落事故をおこしたばかりです。エンジンが停止したさいに安全に着陸する機能をもたず、構造的欠陥が濃厚なオスプレイの配備は、住民を危険にさらすだけです。沖縄や山口の県民は配備につよく反対しています。
墜落事故の調査報告書さえまだ提出されていません。森本防衛相が「安全性が確認できるかどうかは今から」とのべながら、「機体の安全性に何ら問題はない」という米政府の言い分を押し付けるのは、無責任のきわみです。
見過ごせないのは、米政府が墜落事故の「調査結果が提供され飛行運用の安全性が再確認されるまでの間」、岩国基地で準備飛行を「控える」としていることが、「異例の措置」だと森本防衛相が強調していることです。米国が「異例」な協力をしているのだから、地元も配備を受け入れよと圧力をかけるのは押し付けです。調査報告がでるまで飛行を控えるのなら、岩国基地への先行搬入も中止すべきです。米政府の言い分だけにすがって配備を強行しようとする森本防衛相に国民を守る閣僚の資格はありません。
日本共産党の志位和夫委員長は2日、オスプレイの配備中止を米国政府に提起するよう日本政府に申し入れました。問題なのは、藤村修官房長官がオスプレイの配備は米国の「安保条約上の権利」だとのべたことです。安保条約6条は米軍が日本にある基地を「使用することを許される」と規定しているだけです。「許される」とは、米軍に基地使用を「『許す』も『許さない』も、日本国の自由」というのが専門家の見解です。
「法的権限がない」といって米軍の運用を野放しにするなど、安保条約に照らしても許されることではありません。仲井真知事が森本防衛相に、安保条約にもとづき米軍駐留を定めている地位協定をもちだすなら、「全基地即時閉鎖という動きにいかざるをえない」と述べたのは基地をかかえる自治体としてやむにやまれぬ主張です。
沖縄と本土が一体で
国民の命を危険にさらすオスプレイを米国いいなりに配備するのは絶対に許されません。オスプレイは沖縄県内を飛行するだけでなく、本土の東北地方や北信越、近畿・四国、九州などで夜間も含めた低空飛行訓練をおこないます。危険は日本全土を覆います。国民の命を守るため沖縄県民と本土の住民が一体になって配備に反対することが重要です。
基地強化の策動をやめさせ、「安保なくせ」の国民的議論を全国でまきおこすことが求められます。