2012年7月4日(水)
ロシア首相が国後島訪問
領土問題の公正解決に反する
ロシアのメドベージェフ首相は3日、極東連邦管区を歴訪中に、千島列島の南端にある国後(くなしり)島を訪問しました。サハリン州ユジノサハリンスクから空路現地入りしました。メドベージェフ氏の国後島視察は、大統領だった2010年11月1日にソ連・ロシアの国家元首として初めて国後島を訪れて以来2回目です。
日本共産党は、最初の国後島訪問の際、千島の領有を固定化しようとする意思表示であり、領土問題の公正な解決に反するとの志位和夫委員長の談話を発表し、抗議しました。
今回のメドベージェフ首相による極東歴訪は、今秋にウラジオストクで開催予定のAPEC首脳会議の準備状況の点検や産業施設などの視察が名目ですが、領土の実効支配を誇示する目的があるとみられています。
日ロ両国の領土問題をめぐっては、6月にメキシコ・ロスカボスで開かれたG20の際に、野田佳彦首相とロシアのプーチン大統領が会談し、領土問題に関する交渉を再活性化することで一致。「静かな環境の下で実質的な議論を進めていく」としており、今回の国後訪問はこの会談とも矛盾するものです。
玄葉光一郎外相は同日、仙台市内で記者団に答え、メドベージェフ首相の国後島訪問について「日ロ関係の前向きな雰囲気づくりに水を差すものだ」と不快感を示しました。
日本共産党は全千島返還主張
ロシアとの領土問題は、日本の歴史的領土である千島列島と北海道の一部である歯舞群島、色丹島を、第2次世界大戦の終結時に、当時のソ連の指導者だったスターリンが「領土不拡大」という戦後処理の大原則を踏みにじって不法に自国領土に編入したことによるものです。
その後、日本政府は千島放棄条項を含むサンフランシスコ条約の枠内で解決しようとして「四島返還論」に固執。歴史的事実と国際的道理にたった領土交渉をやってきませんでした。
日本共産党は歴代政府に対し、千島放棄条項を不動の前提とせず、戦後処理の不公正を正す立場で交渉を行うことを提起。全千島列島と早期の歯舞群島、色丹島の返還を求めています。