2012年7月4日(水)
“水俣病患者は まだまだいる”
今月申請締め切り 国に撤回要請
被害者ら
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環境省が発表した「水俣病被害者救済特措法」の申請締め切り(7月末)が迫るなか、水俣病患者と支援者らは3日、締め切り撤回と被害者全員の救済を訴え、環境省に交渉しました。申し入れ後、国会前で座り込みと議員要請を行いました。座り込みは、熊本県や新潟県、東京都などから約70人が参加。延べ9日間行われます。
交渉で、「水俣病闘争支援熊本県連絡会議」の原田敏郎事務局長は、6月24日に行った「不知火(しらぬい)海沿岸住民健康調査」の結果を報告。受診者1394人のうち、1216人(87%)に、水俣病特有の感覚障害が認められたといいます。行政の指定した「汚染地域」や「汚染時期」外の人にも症状が見られ、行政の線引きに根拠がないと指摘。「まだまだ潜在患者はいます。患者会の電話は鳴りやみません。締め切りは時期尚早ではないか」と訴えました。
応対した同省職員は「民間の調査などの取り組みには感謝しています。延長といいますが、あと何年待てばいいのですか」などとのべ、撤回への明確なコメントはありませんでした。
水俣病不知火患者会の大石利生会長は「加害者である行政が勝手に期限を切るというのは許されるのか。全ての被害者は救済されるべきだ」と話しました。
新潟水俣病阿賀野患者会の山田サチ子副会長は「何年待てばいいという問題ではない。世の中の偏見や差別を乗り越えて、患者だと手をあげる人のために、この窓口はずっと開けてもらいたい」と語りました。
水俣病救済策の申請締め切り問題 水俣病救済策は、水俣病に特有の症状を抱えながら、行政認定されない被害者に対し「水俣病被害者救済特措法」に基づき、一時金210万円と医療費を支給するもの。細野豪志環境相は2月、救済申請の受け付けを7月末で締め切ることを表明。「あたう(可能な)限りの救済」をうたった特措法に背く被害者切り捨てだとして、多くの患者団体が締め切り撤回を求めています。