2012年7月3日(火)
オスプレイ配備の中止を米国政府に提起せよ
志位委員長が政府に申し入れ
日本共産党の志位和夫委員長は2日、首相官邸を訪れ、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの日本配備中止を米国政府に対して正面から提起するよう野田佳彦首相あての申し入れを行いました。藤村修官房長官が応対しました。
|
志位氏が、墜落事故を繰り返すオスプレイの欠陥機ぶりを指摘したのに対し、藤村氏は「『(オスプレイには)オートローテーション(自動回転)機能がない』という報道は間違いだ。『頼らない』ということだ」と弁解。志位氏は「米議会で分析官が『オートローテーション機能に欠陥がある』と明言している。しかも実際に落ちているではないか」と反論しました。
藤村氏は、モロッコとフロリダ(アメリカ)での墜落事故を受け、「フロリダでのこと(事故原因)がはっきりするまでは飛ばさないということにしてもらっている」と説明。「(危険性についての)感覚的な問題があることは十分承知している」としつつ、「日米安保体制が極東の安全にどう貢献しているかも含めて政治判断し、地元の理解を得られるよう丁寧に説明していく」と述べました。
志位氏は「地元の理解は絶対に得られない。配備を容認したら将来に重大な禍根を残す」と強調。「安保条約をたてにして無理やりオスプレイを配備することになれば、『安保条約をなくせ』ということになる」と指摘しました。
藤村氏は、沖縄の超党派国会議員から申し入れを受けた際にも安保条約の是非を考えるよう提起されたと述べました。
志位氏は「事故が起きたら取り返しがつかない。配備の中止を正面から提起すべきだ」と重ねて求めました。藤村氏は「貴重な提起を首相に伝える」と述べました。
申し入れ全文
(一)
米国政府は、6月29日、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの日本への配備を日本政府に正式に通告した。配備予定の24機のうち12機は7月下旬、山口県の岩国基地(岩国市)に陸揚げされ、同基地で試験飛行を行い、10月初旬に沖縄県の普天間基地(宜野湾市)で本格運用しようとしている。
この動きに対して沖縄県では、県知事や県議会をはじめ、41市町村の全議会と首長がすべて配備に強く反対している。「世界一危険」な普天間基地に、もっとも危険な欠陥機を配備する日米両政府のくわだてに、沖縄県民が島をあげて反対するのは当然である。
(二)
オスプレイは、開発・試験段階から墜落事故をくりかえしている欠陥機である。実戦配備後も事故が相次ぎ、今年4月にモロッコで、6月には米国で墜落したばかりである。米議会でも、オスプレイの分析官が、エンジン停止した場合、安全に着陸するオートローテーション(自動回転)機能に「欠陥がある」、「米連邦航空局の安全基準を満たしていない」と証言をしている。
日本の航空法では、オートローテーション能力がない回転翼機は飛行が禁止されている。オスプレイのような回転翼機は、本来ならば飛行が禁止されるということになる。
にもかかわらず、野田政権が、「機体に不具合はない」という米政府の説明をうのみにして、配備を容認したことは、異常なアメリカ追随の姿勢というほかない。
(三)
被害を受けるのは、沖縄県だけではない。米軍は、オスプレイ配備の「環境審査報告書」で、普天間基地に配備されるオスプレイが岩国基地やキャンプ富士(静岡県)で飛行訓練することや、米軍が沖縄周辺と本土に設定している六つの低空飛行訓練ルートなど、日本各地で訓練する計画を明らかにしている。
米軍の低空飛行訓練は、敵の監視と探知を避け、低空で侵入する技術を向上させることを目的にしている。最近では、アフガニスタンなどの武装勢力の掃討作戦を支援するための訓練が目立っている。オスプレイの低空飛行訓練の計画は、今回のオスプレイ配備が、「日本防衛」とはなんの関係もない、海外への“殴り込み”のための危険きわまりないものであることを示すものともなっている。
米軍機による低空飛行訓練は、これまでも、さまざまな事故や被害をもたらしてきたが、オスプレイのような欠陥機による低空飛行訓練が、その訓練ルートにあたる地域の住民生活に耐え難い危険をもたらすことは、明白である。
(四)
オスプレイ配備について、「米国は日米安保条約上の権利だと主張」(藤村修官房長官)し、森本敏防衛相は、「日本政府に条約上のマンデート(権限)はない」などとのべている。これらの発言は、米軍に、日本全土で、自由勝手に部隊を運用する権利を与えた日米安保条約の有害性を浮き彫りにするものである。
同時に、ことは「条約上の権限はない」ですまされるものではない。日本国民の生命と安全を脅かす欠陥機であることが明瞭な軍用機を、米国にいわれるまま配備していいのか。政府の根本姿勢が問われているのである。
日本共産党は、日本政府が、米国政府に対して、オスプレイ配備の中止を正面から提起し、この危険な欠陥機の配備を許さない姿勢をとることを、強く求めるものである。