2012年6月29日(金)
“オスプレイ来たら住めない”
抗議決議3度 沖縄・金武町訪ねる
飛行回数枠70倍に 墜落の恐怖・騒音…
8月にも米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配備が予定されている米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ。墜落が相次ぐ「欠陥機」で、県内41の全市町村議会が反対決議をあげるなど、沖縄は文字通り「怒りの島」に。県中部の金武(きん)町議会では22日に3度目の配備撤回を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決しました。同町を訪ねました。(山本眞直)
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「海も山も空も全てが米軍基地だらけ。ここに欠陥機のオスプレイがやってきたらもう金武町は住めない町になる」
痛切な思いを語るのは無所属の仲間昌信金武町議(元米軍基地問題対策調査特別委員長)です。
訓練頻度が激増
町の6割を基地が占める金武町は、普天間基地「移設」問題では、名護市辺野古への新基地建設を容認し、キャンプ・ハンセンへの自衛隊との共同使用も容認するなど保守町長による基地との「共存」関係が続いています。
しかしオスプレイ配備では新たな動きも出ています。米軍の環境審査(レビュー)によれば、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、ブルービーチにある29カ所のヘリパッドでオスプレイの飛行訓練を実施するというのです。
とくに民家が密集する金武町の国道329号沿いのヘリパッド、ブルービーチでの訓練頻度は、現在のCH46ヘリコプターに比べ、いずれも激増です。
ブルービーチでのCH46ヘリの訓練は年間24回とされてきました。レビューはオスプレイの訓練枠を1680回、70倍にも拡大しています。
「オスプレイが沖縄に配備されれば金武町全域で飛行訓練が行われる。騒音と墜落事故への恐怖は計り知れない、という意見書は決しておおげさではない」(無所属の崎浜秀幸町議)のです。
儀部剛町長も「ブルービーチでの訓練が増えるといわれており断固反対」(19日の町議会答弁)との姿勢をとっています。
金武町民の怒りの背景にはもう一つ理由があります。日米両政府は1996年に町内のギンバル訓練場の返還を合意。金武岬に代替ヘリポートを建設する代わりに、ブルービーチでのヘリ飛行訓練も行わないことを金武町に約束しました。しかし、米軍は、新ヘリパッドを使い、ブルービーチでも訓練を継続しているのです。
同訓練場のある同町並里区の与那城直也区長は言います。「町内唯一の浜をいつまでも米軍のやりたい放題にさせない。ブルービーチを返してほしい」
今でも戦場状態
金武町は100年前、沖縄でいち早くハワイ移民が取り組まれ「移民の里」とよばれています。崎浜町議は「町民はブルービーチの浜から帆掛け舟の『やんばる舟』で与那原などを経由して旅立ったという。由緒ある浜なので取り戻したい思いがある」と言います。
キャンプ・ハンセンの基地ゲート前の飲食街で働く女性(64)は「今でも夜中の11時近くまでヘリの訓練が毎日のように行われ、いつ墜落するのかと恐怖の日々です。欠陥機のオスプレイは来ないでほしい」と訴えます。
前出の仲間町議はこう告発します。「戦後67年たっても金武町は戦場状態が続いている。この無法に加えてオスプレイの訓練を70倍にも増やすという。日米安保条約はもういらない」
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