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2012年6月28日(木)

稼働見込めない原発関連費用2400億円

東電 値上げの原価に算入

「転嫁おかしい」と批判の声

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 東京電力は家庭向け電気料金を7月から平均10・28%の値上げをしたいとしていますが、値上げの根拠となるコスト(原価)に、再稼働が見込めない原発の維持費や減価償却費など、疑問だらけの費用が2400億円以上も含まれていることが分かりました。値上げの是非を検討している内閣府の消費者委員会や、経済産業省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」に、東電自身が提出している資料で明らかになったもの。

 東電が提出している資料によると、原価には、東電福島第1原発5、6号機、同第2原発1〜4号機について、将来稼働させることを前提にした原子炉などの点検や修理に使う運転維持費が486億円、建設費などを一定期間に分けて計上する減価償却費が414億円含まれています。

 しかし、第1原発の1〜4号機が重大な事故を起こし、福島県内で原発を再稼働する可能性はほとんどありません。将来も再稼働しないなら原発の「資産価値」はなく、減価償却費を計上する理屈もありません。

 福島第1原発1〜4号機については、「作業員の放射線管理、線量低減対策に加え、敷地境界の放射線量低減を推進していくための費用の増加が避けられない見通し」だとして、「安定化維持費用」487億円を値上げ原価に算入しています。

 このほか、昨年1月に着工後、東日本大震災を受け、工事を中断中の東通原発について、「『将来の稼働の確実性』を言える状況にはない」としつつ、「建設中の資産は2分の1のみを算入する規定となっている」として、22億円の「事業報酬」を原価に加えています。

 稼働していない日本原子力発電の東海第2発電所(茨城県)、東北電力の女川原発(宮城県)、東通原発(青森県)から年106億キロワット時の電力を購入する費用として、「長期の契約関係にもとづき」1002億7300万円を計上していることも大きな問題になっています。

 こうした再稼働の見通しが立たない原発関連の原価は2400億円を超えます。(表参照)

 電気料金審査専門委員会や内閣府消費者委員会では、「稼働しない原発まで利用者が負担するのは納得できない」「事故に関する費用は銀行や生保などの株主や国が負うべきで、国民に転嫁すべきではない」といった批判の声が上がっています。

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