2012年6月28日(木)
シリア首都近郊 最大規模の戦闘
大統領、徹底鎮圧の姿勢
【カイロ=小泉大介】政府軍と反政府武装勢力との戦闘が激化の一途をたどるシリアで26日、首都ダマスカス近郊において過去最大規模の武力衝突が発生しました。政府軍からの離反兵士も引き続き増加するなか、アサド大統領は同日、「シリアは真の戦争状態にある」とした上で、あくまで武力で反政府勢力を徹底鎮圧する姿勢を表明しました。
現地からの報道によると、26日の首都近郊における戦闘は、アサド大統領の弟でもあるマーヘル司令官率いる精鋭部隊「共和国防衛隊」の駐屯地近くで発生。ダマスカス中心部からわずか8キロの地点に多数の戦車を展開させた政府軍と反政府武装勢力が激しい砲撃を交わしました。
英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、この戦闘により30人近くが死亡し、その他にも26日に全土で発生した戦闘で80人以上が死亡しました。
一方、中東の衛星テレビ・アルジャジーラは26日、人権活動家の話として、北部イドリブで280人の兵士が離反したと伝えました。シリアでは21日に空軍大佐が戦闘機とともに隣国ヨルダンに逃れ亡命して以降、政府軍兵士の離反が急増しており、25日にも北部で40人近い兵士が隣国トルコに脱出していました。
シリア国営テレビは26日、アサド大統領が「われわれは真の戦争状態の中にいる」「戦争状態においては、われわれのすべての政策と能力が勝利のために動員されなければならない」と総動員態勢を強調したと伝えました。