2012年6月28日(木)
オスプレイ低空飛行計画
自治体反対・地元紙も批判
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイによる日本全土での低空飛行訓練計画が米軍報告書に明記されたことに、米軍基地を抱える自治体や低空飛行ルート下の自治体に懸念が広がっています。地元メディアも「安保体制の根本的な見直し」まで唱えながら批判しています。
広がる不安
米軍岩国基地のある山口県岩国市の福田良彦市長は26日、防衛省による説明を受けた後、「オスプレイの安全性(に対する懸念)は払拭されていない」とのべ、岩国基地への一時駐機は「了解できるものではない」との見解を提示。岩国市議会は22日、「オスプレイの岩国基地への陸揚げ・一時駐機に強く反対する」との意見書を全会一致で可決しました。
和歌山県の仁坂吉伸知事は25日の県議会で、「本県の上空を飛ぶ必然性が説明されていないなか、大変危険性を伴い県民に不安を与えるものであるため訓練には反対である」と明言しました。
静岡県御殿場市の若林洋平市長は22日の市議会で、キャンプ富士への「配備や新たな訓練に対しては受け入れ拒否の断固たる姿勢で臨む」と答弁。愛媛県の中村時広知事は18日の記者会見で、同機が墜落事故を繰り返すのは、「機種の構造的な問題じゃないかという不安感が広がっている」として、仲井真弘多沖縄県知事や二井関成山口県知事が受け入れ困難との姿勢を示していることについて、「当然、同じ気持ちだ」と述べました。
広島県は18日、米軍機の低空飛行訓練の中止などを外務、防衛両省に要請しました。
再交渉せよ
愛媛新聞は20日付社説で、沖縄配備も低空飛行訓練も「許すわけにはいかない」と主張し「米国による今回の『オスプレイ配備押しつけ』を、日米安保体制の根本的な見直しと、主体的対米交渉を始める契機とするべきだ」と提起。西日本新聞(本社・福岡市)も17日付社説で、「沖縄や岩国など、不安を感じる国民の側に立って米国側と再交渉することこそが、本来果たすべき役割ではないのか」と強調しました。
徳島新聞は、「いくら日米同盟とはいえ、米国の態度はあまりにも傍若無人すぎないか」(15日付コラム)と批判。中国新聞(本社・広島市)は、岩国基地への先行配備は「おいそれと納得はできない」(10日付社説)と表明しました。
|
配備許すな普天間閉鎖を
国会で集会 赤嶺議員が参加
米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの沖縄配備を許さず、普天間基地の即時閉鎖を求める集会と防衛省・外務省交渉が27日、国会内で行われ、市民や国会議員ら約80人が参加しました。
主催は「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」。日本共産党からは赤嶺政賢議員が参加しました。
集会では「政府は普天間を危険と認識しているなら、運用中止を米国と交渉すべきだ」「オスプレイは欠陥機種。事故が起きてからでは遅い」などの声が上がりました。
赤嶺氏は「事故が多発しているのに『安全だ』と言っても信用できない」と強調。那覇軍港は1974年に返還が約束されたものの、移設条件付きのためいまだに実現していないことをあげ、「普天間も同じ。沖縄にも本土にも移設先はない。無条件撤去以外にない」と主張しました。
政府交渉で、防衛省担当者は「代わりの場所がなく撤去となれば、海兵隊の抑止力が損なわれる」と、米国言いなりに沖縄に基地を押し付け続ける方針を改めて表明。参加者からは「どこの国の政府だ」との声が上がりました。
担当者は、普天間の改修工事を行う考えも表明。これに対し赤嶺氏は「普天間の固定化につながりかねない」と批判しました。