2012年6月28日(木)
電力9社株主総会
再稼働に批判続出
廃炉・賠償求め発言
東京電力や関西電力など電力9社は27日、一斉に定時株主総会を開催しました。東北電力や中部電力、九州電力などでも株主から、「脱原発」株主提案が出され、激しく議論が交わされました。しかし、いずれの株主提案も総会で否決されました。
東電の株主総会は午前10時から東京都渋谷区の国立代々木競技場第一体育館で開かれ、4471人の株主が出席。5時間31分の総会となりました。
発言した株主からは、原発被害の賠償、除染に会社が全力で取り組むよう求める声があがりました。福島県三春町の女性(58)は「東電原発事故で美しかった古里は一変し、私は被災者となりました。二度と元の暮らしに戻れない絶望感で命を絶つ人があとを絶たない」と涙を浮かべ苦しみを訴え、東電に対し事故の当事者としての責任を持った賠償を要求しました。さらに、「(東電は)生活を根こそぎ奪った自覚、反省はあるのか」との厳しい意見も出されました。
さらに、「原発は稼働させず、電源として使わないのが現実的」として、柏崎刈羽原発の廃炉などを求める株主提案も出されました。経営陣に対して「なぜ核のゴミが出ることを知りながら、原子力がそんなに好きなのか」と問いただす場面も。東電が「総合特別事業計画」で柏崎刈羽原発の再稼働を前提としていることについて「金融機関が(再稼働を)融資の条件にしているのはおかしい。安全と融資条件は別の問題。再稼働は許さない」との意見も出されました。
総会では東京都も情報開示など経営の透明性を求めた議案を提出。株主提案はいずれも否決されました。一方、1兆円の公的資金投入を受け入れて、政府が最大75%余りの議決権を持つことなど、会社側が提案した議案が原案通り可決され、実質的に国有化されることが正式に決まりました。
会場に来た株主からは「バカな会社の株を買ってしまった自分が情けない」「経営者はちゃんと責任を取ってほしい」などの声が聞かれました。
関電の総会では、筆頭株主の大阪市が「全原発の廃止」を求めました。