2012年6月24日(日)
自動回転欠くオスプレイ
航空法では飛行禁止
地位協定で適用除外
沖縄への配備が狙われる米海兵隊新型輸送機MV22オスプレイに、エンジン停止の際、安全に着陸するための自動回転(オートローテーション)能力がないことが大きな問題になっています。日本の航空法では、安全性確保のため、自動回転能力がない回転翼機は飛行が禁止されています。しかし、米軍機は日米地位協定に基づき同法が適用されないという屈辱的な実態があります。(榎本好孝)
自動回転とは、ヘリコプターなど回転翼機のエンジンが飛行中に停止した場合、機体の落下で生まれる風の力で回転翼を空転させて揚力を生み出し、緊急着陸する方法です。
米国のオスプレイ専門家は、同機が「安全に自動回転できない」と米議会で証言(レックス・リボロ元国防分析研究所主席分析官、2009年6月23日、米下院監視・政府改革委員会公聴会)。海兵隊や製造者のベル・ボーイング社も事実上これを認めています。
一方、日本の航空法では「回転翼航空機は、全発動機が不作動である状態で、自動回転飛行により安全に進入し着陸することができるものでなければならない」と規定(同法施行規則付属書第1)。この基準に当てはまらない航空機は「耐空証明」(飛行の安全証明)を受けられないため「航空の用に供してはならない」とされています(第11条)。自動回転によって安全に着陸できないオスプレイのような回転翼機は飛行を禁止されるということです。
ところが、日米安保条約に基づき米軍特権を保障している日米地位協定の下で、航空法の特例法によって米軍機は航空法第11条の適用を除外されています。このためオスプレイは自動回転能力が欠けているのに飛行が禁止されません。
オスプレイは、もし民間機であれば米国内でも飛行を許可されない航空機です。
前述のオスプレイ専門家の議会証言によると、自動回転能力に欠ける同機は、米連邦航空局(FAA)が定める耐空性基準(飛行の安全性を確保するための基準)を満たしていません。同基準は軍用機には適用されないものの、米国防総省はそれと同等の基準を人員輸送の軍用機には課すという政策をとってきました。しかし、オスプレイは、そうした政策から初めて逸脱。同専門家は「兵士の命の軽視」だと批判しています。
米軍の計画によると、オスプレイは沖縄全域をはじめ日本全土で訓練を行うことが明らかになっています。沖縄県民、日本国民の命の軽視にほかなりません。