2012年6月22日(金)
国立大の給与下げ強要
政府圧力 運営費交付金を減額
野田内閣が、全国の国立大学法人(90法人)に対し、教職員(13万人)の給与の大幅削減を不当なやり方で強要していることが、21日までに明らかになりました。
2月末に成立した国家公務員の賃下げ法をうけて、野田内閣は、同法による給与削減の対象でない国立大学法人や独立行政法人に対しても、同等額の7・8%削減を「要請」しています。文部科学省が5月14日付で各法人に発した「民主党・行政改革調査会からの資料要求に係る再調査依頼について」と題する文書は、「国家公務員の給与特例法に準じて職員給与規程を改定済」かどうかのほか、「労使交渉中の場合、終了時期のメド」などまで記載して提出することを求めています。
国立大学法人などの教職員は公務員でないため、給与削減を行うかどうかは、労使交渉によって決定すべきものです。給与改定したかどうかとあわせて、各法人での労使交渉について、交渉終了時期まで国に報告させることは、労使関係への国による不当な圧力となります。
しかも、5月11日の閣僚懇談会では、国家公務員の給与削減と同等の額を運営費交付金から減額するとし、安住財務相は会見で、国立大学300億円、独立行政法人300億円、特殊法人100億円の減額になるとのべています。財政面からも、各大学の給与削減を強要しようというわけです。
これらは、国立大学を法人化する際に、「法人化前の公費投入額を十分に確保し、必要な運営費交付金等を措置するよう努める」、「『良好な労働関係』という観点から、関係職員団体等と十分協議が行われるよう配慮する」とした国会付帯決議(2003年)にも反しています。
要請は不当 交付金守れ
全国大学高専教職員組合の長山泰秀書記長の話 政府の国立大学法人等への国家公務員給与臨時特例に準じた賃金引き下げ要請は全く不当なもので、賃金引き下げ分を教育・研究・医療を守り充実するために必要な運営費交付金から減額するなどあってはならないことです。事実上、各法人での労使交渉が機能しない現状を作り出している政府は、要請を直ちに撤回すべきです。