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2012年6月21日(木)

主張

G20サミット

緊縮から成長への流れ明らか

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 メキシコで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議は、宣言で「成長と雇用を促進することで一致した」と強調しました。成長と雇用が「必要不可欠」とした5月の主要8カ国(G8)首脳会議に続くものです。ギリシャをはじめとする財政危機への対策として強調されてきた国民犠牲の緊縮路線はゆきづまりがますます明らかで、転換が余儀なくされています。

噴出する怒り受けて

 昨年11月の前回G20サミットはギリシャの債務危機で揺れるなかで開かれ、欧州債務危機の封じ込めが焦点となるもとで、ギリシャに緊縮策の受け入れを迫りました。今回サミットも、直前に実施されたギリシャ再選挙で緊縮推進派が過半数を占めたことに、欧州や日米の首脳らが安どを表明し、従来の枠組みが維持されたかのようにもみえます。

 しかし、世界経済は深刻な景気後退も予想される崖っぷちです。欧州はユーロ危機にもがき、日本や米国では産業の空洞化が進むなかで格差の拡大と貧困化が進行しています。高い成長を誇ってきた中国などの新興国も当面の先行きが危ぶまれています。

 そのなかで今回サミットは、需要の拡大と世界的な成長促進、雇用拡大などで「必要なあらゆる政策手段をとる」と踏み込みました。宣言は財政再建について「回復を支えるのに適切なペース」を求め、この点でも成長重視の姿勢が浮き彫りです。緊縮一辺倒では経済が破壊され、財政再建もおぼつかないからです。

 成長のあり方として、経常収支の黒字を抱える国々に内需の拡大を求めたことは重要です。「財政に余裕のある」国や新興諸国などが念頭にあるものの、欧州危機の一要因ともなっている世界的・地域的不均衡を是正するうえでも、内需主導の成長の必要が十分に検討されなければなりません。

 こうした転換の背景に、各国で緊縮政策に対する国民の怒りが噴き出し、緊縮に固執する政権の基盤を大きく揺さぶっていることがあります。ギリシャの選挙結果は、ユーロ圏からの“追放”という脅しのもとで有権者に押し付けられましたが、緊縮推進の第1党でさえ、財政再建の目標時期などを緩和する再交渉を求めています。増税や年金削減などの社会保障切り捨ての緊縮一辺倒では袋小路にいたることが明らかです。

 フランスで「成長」を掲げるオランド政権が発足したことも転換を促進しています。11月の米大統領選挙で再選をめざすオバマ大統領にとっても景気回復と雇用が最大の課題であり、米政権が欧州に危機を収束させる抜本対策を強く求めているのもそのためです。

流れ読めない野田首相

 緊縮一辺倒から成長への流れを読めず、一人孤立した感のあるのが野田佳彦首相です。前回G20サミットで消費税増税を“国際公約”した野田首相ですが、今回のG20でも消費税を増税し社会保障を切り捨てる「一体改革」の強行を約束し、崖っぷちへ突っ走る姿勢をアピールしました。

 日本共産党は消費税増税に反対し富裕層や大企業に応分の負担を求めるとともに、財政を立て直すにも国民の所得を増やして内需主導の健全な成長をめざしています。それこそが世界の経験にも見合うあり方です。


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