「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年6月19日(火)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 大阪出張の折、社会人のための「文楽鑑賞教室」を見てきました。演目は、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋の段」。主君(菅原道真)の恩に報いるため、若君の身代わりに、わが子を犠牲にする悲劇です▼その子が首をはねられる時、にっこりと笑っていたと聞かされ、泣き笑いで応じる父・松王丸。わが子の運命を嘆く母・千代。情感たっぷりの義太夫節と相まって、人形とは思えない哀れが涙を誘います▼以前、2人の人間国宝を追ったNHKの番組がありました。1人は長年にわたり、人形遣いの最高峰として文楽を支えた吉田玉男さん(故人)。もう1人は87歳の今も大夫の筆頭として舞台を務める竹本住大夫さん。「大夫は60越えてからや」と語る住大夫さんが、入門21年の弟子を叱り飛ばしていた姿が印象的でした▼1体の人形を3人で遣う大阪生まれの文楽は、300年の歴史を持つ世界遺産です。その修業は途方もない年月を必要とします。人形遣いはメーンの主遣いになるまで、「足遣い10年、左遣い10年」といわれるほど▼それを「伝統に胡坐(あぐら)をかいてきた」とツイッター上で攻撃し、補助金カットをもくろむ橋下徹大阪市長。一方で、カジノ合法化、大阪への誘致を訴えます▼季刊『上方芸能』最新号に掲載のドナルド・キーン氏の言葉が痛烈です。「文楽が生を受けて見事な花を咲かせた大阪で、もし死に絶えるのなら、大阪の政治家の蛮行を世界は決して許さず、また忘れることもないでしょう」。この声に、どう答えるか。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって