2012年6月17日(日)
主張
オスプレイ墜落
配備計画は撤回するしかない
米空軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが13日、フロリダ州の演習場で射撃訓練中に墜落しました。
山口県岩国基地を経由して沖縄の普天間基地への配備が計画されている海兵隊のオスプレイは、4月にもアフリカ北部のモロッコで墜落したばかりです。森本敏防衛相は、モロッコでの墜落に「機械的な不具合はなかった」というアメリカの説明をうのみにしてオスプレイの配備強行を狙いましたが、フロリダの墜落事故で筋書きは崩れました。配備のための作業は中止するのはもちろん、これだけ墜落事故をおこしているオスプレイの配備計画を撤回すべきです。
危険は明々白々
オスプレイは、離着陸時はヘリとして、水平飛行時はプロペラ機として飛ぶ最新鋭の輸送機です。海兵隊用も空軍用も基本設計は同じで、開発段階から墜落事故をくりかえしています。すでに運用が始まっているのにわずか2カ月間で2度も連続して墜落するのはきわめて異常であり、危険な欠陥機であることを浮き彫りにするものです。文字通り、オスプレイが飛行するところはどこでも住民が墜落の危険にさらされることになります。
モロッコでの墜落も、今回のフロリダでの墜落も、詳しい原因はわかりません。しかし、オスプレイは飛行中にエンジンが停止したさい機体の降下による空気の流れでプロペラを回し、浮力を得て着陸する「オートローテーション機能」がありません。エンジンが停止すれば、コントロールできずにそのまま地上に墜落することを意味します。
相次ぐ事故に、配備が計画されている沖縄県民はもちろん、一時的な配置を押し付けられようとしている岩国市民が反発をつよめています。普天間基地に配備されている米軍ヘリは、周辺一帯を戦場に見立て、地上からパイロットの顔が判別できるほどの低空を旋回する飛行訓練を連日おこなっています。既存のヘリ能力をはるかに上回るオスプレイが住民の頭上を飛び回り、重たい物資をつり下げての訓練をくりかえせば、危険が増大するのは目に見えています。
このほど明らかになった、日本でのオスプレイの運用についてのアメリカの「環境審査報告書」が、普天間基地でのオスプレイの夜10時から翌朝7時までの飛行回数を、現在の76回から280回に増やすとしていることも重大です。深夜の飛行は最小限にするとした日米騒音防止協定(1996年)すら守る意思が米軍にないことを示すものです。
沖縄だけではありません。報告書は、東北地方に2本、北信越、近畿・四国、九州、沖縄・奄美に各1本、合計6本のオスプレイ用の低空飛行訓練ルートがつくられることも明らかにしています。オスプレイの被害を全国に広げるもので重大です。
沖縄と本土一体で
沖縄ではオスプレイ配備を強行しようとする日米両政府に怒りが噴き上げています。5日までに県下41市町村議会中39市町村議会が反対決議や意見書をあげています。17日には宜野湾市でオスプレイの普天間基地への配備を阻止する市民大会が開かれます。
沖縄と本土一体で配備に反対する運動を巻き起こし、日米政府を追い詰めることが重要です。