2012年6月15日(金)
再稼働反対 町議会で一人
廃炉でも雇用創出
おおい町 猿橋 巧議員に聞く
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を容認する決議を5月14日に採択した、おおい町議会で、ただ一人反対した日本共産党の猿橋巧町議(58)に再稼働反対での奮闘ぶりを聞きました。(矢野昌弘)
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おおい町議会での私の再稼働反対討論はインターネットの動画サイト・ユーチューブでも2000件以上視聴されて「よくいってくれた」の声が多く寄せられました。
安全第一
再稼働の議論にあたっては、安全性が一番の問題です。ところが議論は、雇用問題、経済問題、町財政へと当初の話からずれてきました。安全問題が何よりも前面に出て、話し合わなければならないのに、脇にながれてしまいました。
4月の住民説明会では大方の発言者が「安全性に不安がある」ということと「もっと慎重に」という意見でした。ところが議会は、住民の声を聞くと言いながら、実際には国と県の方ばかりみて、聞いていません。
この町では、原発関連で働く人がずいぶんおり、再稼働容認という意見の方もいます。
だけども、どなたも話の枕ことばに「安全性が確実に保たれてから」という言葉が共通します。それが確保できていないのに、再稼働するのは大問題です。このままでの再稼働はやめてくれという声が圧倒的です。
対案あり
再稼働を推進する側は「原発が止まったら、町は真っ暗になる」という宣伝を広めました。住民の不安をあおるやり方です。それに対して私は具体的な対案をもって、わかりやすい反論を心がけてきました。
たとえば町の財政でいえば、電源3法交付金の補助金は、原発が停止中でも設備能力の8割を交付することが決められています。町の年間予算は約140億円です。同規模の自治体なら、40億円や50億円といったところです。おおい町は例えば2割減ったとしても110億円以上あるのです。たちまち町財政がゆきづまるというわけではないのです。
雇用にしても、使用済み燃料がサイト内にある限り、管理、運営する職員はいるのです。雇用ゼロなんてありえません。
雇用が創出されて働く場所があれば、あえて原発はいらないというのが住民大多数の本音です。
廃炉にしても、おおい町の雇用を支える展望はあります。一つは、廃炉ビジネスです。1基あたり800億円から1千億円と言われています。廃炉を決断すれば、その日から始まる事業です。2基の廃炉を決めた静岡県の浜岡原発では、すでに廃炉ビジネスが始まっていて、雇用も生まれ、財政効果が出ています。
私は町議7期目です。この間、一貫して原発の危険性を指摘してきました。たくさんの困難も経験しました。今後も、廃炉後の町づくりといった展望もしめしながら、再稼働中止の世論をつくっていきたいと思います。