2012年6月14日(木)
水俣病
山間部43歳以上4割
医師会見 「締め切り言語道断」
国が7月末での特措法による水俣(みなまた)病救済の申請締め切りを狙う中、熊本県水俣市内の山間集落で、43歳以上の住民4割以上に、救済対象となる水俣病の症状のあることが13日、わかりました。水俣病訴訟支援に取り組む民間医師でつくる「公害をなくする県民会議医師団」(藤野糺=ただし=団長)と水俣協立病院スタッフが4月〜5月に行った検診で明らかになったものです。
検診・調査の対象は、海岸から直線距離で10キロ以上の鹿児島県境に近い市内東部に位置する救済対象地域外の越小場(こしこば)地区日当野(ひとの)。5月27日の一斉検診では40歳代〜80歳代の受診者13人すべてに手足の先になるほど感覚が鈍くなるなどの水俣病特有の症状がみられました。医療費の支給などが受けられる水俣病被害者手帳の保有者を含めると、住民50人中20人に被害が及んでいることになります。
山間部は、水俣病の原因物質、有機水銀に汚染された魚介類を多食していないとして、これまで被害がないとされてきましたが、昨年、芦北町の山間部で初めて被害が確認されました。
同日、水俣市内で記者会見した藤野氏は「水俣の山間部でも半数近い被害者がいたということは、市街地にも患者がもっと残っているはず。このような状況での受け付けの締め切りは言語道断だ」とのべました。
訪問調査に参加した同病院の神ア光明事務長は「1950〜60年代、魚の行商が立ち寄っていたという話をいくつも聞いた」と話しました。