2012年6月14日(木)
論戦ハイライト
後期医療廃止公約どこへ
「状況変わった」首相 答弁不能に
参院予算委 山下議員の追及
13日の参院予算委員会で、後期高齢者医療制度廃止の公約を守るのかと追及した日本共産党の山下芳生議員。野田佳彦首相はたびたび答弁不能に陥りました。
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野田首相は2008年当時、後期高齢者医療制度は「74歳以下の国民との間を非人間的に分断する」「横暴に社会保障を切り捨てた象徴的な事例」と批判していました。山下氏が「同じ認識か」と問うと、野田首相は「当時の思いはそうだった」としか答えません。
山下氏は、同制度について野田首相が指摘していた三つの「問題点」を突きつけました。第一は、年金は減るのに保険料は年金から満額天引きされる「不合理」。第二は年金が年18万円未満の人は天引きされないかわりに、保険料を1年以上滞納すると正規保険証をとりあげられることです。
実際、同制度で有効期間の短い「短期証」にされた人は3万6千人。1792人は預貯金などを差し押さえられています(11年度)。
山下 病気になりがちな75歳以上の低所得者から預貯金まで差し押さえる。あまりに冷酷だ。責任を感じないのか。
首相 (答弁に立たず)
小宮山洋子厚生労働相 少額でも払っていただくことが公平という点から大切。
山下 実態をわかっているのか。東京では昨年末、83歳の方の年金6万5千円が振り込まれたとたんに差し押さえられた。生きる糧を奪うものだ。
山下氏に重ねて「責任を感じないのか」と迫られ、ようやく首相は「(差し押さえの)理由は調べないと何ともいえない」と答弁。山下氏は「調査もせずに無責任だ。わずかな年金を差し押さえているではないか」と批判しました。
第三は、野田首相が「75歳以上の高齢者の増加に応じて、自動的に保険料が引き上げられる」と批判していたことです。
山下氏は保険料が10年度の年6万3千円から、25年度には10万1千円に上がるとの厚労省の推計を示し、「保険料は天井知らずに上がり、25年にはいまの5割増しになる。とても耐えられない」と強調。「病気にかかるリスクの高い高齢者だけを切り分けて保険が成り立つはずがありません」との野田首相のかつての言明を示して追及しました。
山下 この制度が続く限り高齢者の苦しみは募る。廃止しかない。
首相 状況が変わったこともある。
山下 制度の根幹は全く変わっていない。変わったのはあなたの方だ。
山下氏は、「『廃止する』といえないのは、自民・公明と『談合』して消費税増税法案を通すためだ」、「消費税は上がる、社会保障はいっそう悪くなる、こんな道に未来はない」と批判しました。