2012年6月14日(木)
オスプレイ 全国で低空飛行
沖縄から東北まで6ルート想定
米軍報告書 岩国・富士も拠点に
事故多発の欠陥機と指摘される、米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイが沖縄の普天間基地(宜野湾市)に配備されれば、日本全土で低空飛行訓練を行うことになる―。防衛省は13日、オスプレイの普天間基地配備と日本での運用に関する環境審査の米軍報告書を沖縄県など関係自治体に提出しました。この中で、オスプレイが沖縄と本土に設定した低空飛行ルートでの訓練を想定していることが明らかになりました。
報告書によると、普天間基地に配備されるオスプレイ部隊(計24機)は、訓練のため、沖縄以外に、主に本土の米海兵隊岩国基地(山口県)と同キャンプ富士(静岡県)に分遣隊(2〜6機)を派遣。その際、既存の六つの低空飛行ルートで訓練を行うことになるとしています。
岩国基地とキャンプ富士への配備期間は月平均2、3日としていますが、場合によっては2週間にわたる長期派遣もあるとしています。派遣先も、米海軍厚木基地(神奈川県)など他の米軍基地もあり得るとしています。
オスプレイが使用するルートは、東北地方の「グリーン」「ピンク」と名付けられた2本、北信越の「ブルー」、近畿・四国の「オレンジ」、九州の「イエロー」、沖縄・奄美の「パープル」の計6本。米軍が低空飛行ルートを公表するのは初めてです。
これらのルートは現在、岩国基地に配備されているFA18戦闘攻撃機やAV8B攻撃機が主に使用。これに加えてオスプレイが訓練をすれば、各ルートでの飛行回数が年間約55回、計330回(21%)増えると試算しています。
中国地方にあるとされる「ブラウン」ルートは含まれていませんが、FA18などが激しい低空飛行訓練を行っており、オスプレイが使用しない保証はありません。
沖縄県「反対」
沖縄県の又吉進知事公室長は13日、オスプレイに関する米軍の環境審査の報告を防衛省から受け、「現在、県がもらっている情報の範囲では県民が大変不安を抱いており、県としては反対だ」と述べました。
7月下旬ともされるオスプレイの日本への搬入方法について、沖縄県に対し防衛省は「岩国飛行場で陸揚げするのがより安全で適切だろうと米国政府の結論が出た」と答えました。
低空飛行ルート 米軍は正式には「航法ルート」と呼んでいます。今回の米軍報告書も「低高度訓練」のためと指摘しているように、飛行高度の下限は500フィート(約150メートル)という超低空です。日本の航空法が定める最低安全高度(非人口密集地の場合)だとしていますが、これは軍用機の訓練を想定したものではありません。しかも、それ以下の高度での飛行もしばしば目撃されています。
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