2012年6月9日(土)
福島第1撤退問題
一部作業員残すと伝えず
国会事故調 清水前社長を聴取
東京電力福島第1原発事故を検証する国会の事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は8日、東電の清水正孝前社長を公開で聴取しました。政府と言い分が食い違う事故現場(福島第1原発)からの東電の「撤退」問題については、一部の作業員を残すと官邸側に伝えていなかったことが明らかになりました。
委員から、東電側で「全員のサイト(現場)からの退避は何時頃になるんですか」との会話が交わされていたことが明らかにされました。第1原発では最悪の場合10人ほどを残して退避することが検討されていたことも示されました。
清水氏は、一部を残すと官邸に伝えたか問われると「退避は申し上げた。一部と言ったかはあいまいさが残っている」と述べました。
新潟県中越沖地震(2007年)で起きた柏崎刈羽原発の事故を受けて福島第1原発につくられ、今回の事故対応の拠点となっている免震重要棟について「あれがなかったらと思うとゾッとする」との認識を示しました。関西電力大飯(おおい)原発3、4号機には免震棟はなく、改めて再稼働の危険性が浮き彫りとなりました。
委員から、06年の耐震指針の改定を受け行わなければいけなかった原子炉の耐震対策の遅れを指摘されると、すでに津波による全電源喪失の危険性が言われていたにもかかわらず、「当時の耐震、津波対策の考え方は大きな疑問としては認識していなかった」と弁明しました。
当時の東電の責任者だったにもかかわらず清水氏は「記憶にない」「そういう認識はない」とあいまいな答弁に終始しました。