2012年6月8日(金)
原発事故 福島のいま
除染法定計画に遅れ
41自治体中5自治体
国の財政支援を受けて市町村が主体となって、東京電力福島第1原発から放出された大量の放射性物質の除染を行う「汚染状況重点調査地域」で、放射性物質汚染対処特措法に基づく除染計画づくりが遅れています。福島県内の「調査地域」41市町村のうち法定計画として認められたのは5市村にとどまっています(7日現在)。背景には計画に盛り込む内容をめぐって国と市町村の意見の相違があります。(柴田善太)
国との調整に手間取る
「調査地域」41市町村のうち、会津地方の一部を除く33市町村は自治体としての除染計画を策定しています(4月末段階)。放射性物質汚染対処特措法が1月完全施行されたことを受け、自治体は計画を微調整し、環境省の認可を受け法定計画となる流れになっています。
法定計画としての認定が遅れていることについて市町村の除染担当者は次のように話しています。
「環境省の放射線量の着眼点は空間線量一辺倒だ。市として農業再生のため土壌の線量削減目標を計画に織り込んでいるが難色を示され調整中」(南相馬市)
「除染方法は環境省のガイドラインに示された方法でないと認められない。新技術も生かしたいが、そのための協議に手間取る」(二本松市)
「細かな文言も法律の表現に直され、手直しが多い。昨年9月に計画をつくって除染を進めようとしている。法定計画にならなくても財政支援は受けられるという話だが、見切り発車の感はあり不安が残る」(大玉村)
また、国が直接除染を行う福島県の「除染特別地域」の11市町村でも特別措置法にもとづく計画ができたのは5自治体にとどまっています。
除染特別地域と汚染状況重点調査地域 放射性物質汚染対処特措法に基づく指定。除染特別地域は警戒区域と計画的避難区域が対象で、年間の積算放射線量が20ミリシーベルト超の福島県11自治体を指定。国が直接除染します。汚染状況重点調査地域は放射線量が毎時0・23マイクロシーベルト(年間1ミリシーベルト)以上の地域で、7県104自治体を指定。国が財政援助をして市町村が除染します。