2012年6月8日(金)
京産大学生と小池さん討論会
党の「提言」知り企画
2週間かけ準備 学習重ねる
6日に行われた京都産業大学の学生と日本共産党の小池晃政策委員長の討論会。ディベート(討論)を重視する同大学経済学部のゼミの教授がホームページで共産党の「提言」を知ったことがきっかけになり、企画されました。ゼミの学生たちが2週間かけて準備。事前に共産党の「提言」などの学習を重ねた上での議論となりました。(矢守一英)
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消費税の影響は
野田政権がたくらむ消費税増税に関して、経済に与える影響や逆進性の問題が議論の中心になりました。
学生からの質問は、1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた時に税収が落ち込んだのは、当時のアジア金融危機の影響もあるのではないかというもの。小池さんは97年をピークに消費支出が落ち込むなど、経済の実態を見れば、以降の停滞は明らかだと話しました。消費税が10%になれば、モノの値段に跳ね返り暮らしが一層大変になり、それが税収の減少につながるなど「悪循環」に陥ると指摘しました。
議論を聞いた学生はこんな感想を寄せました。
「消費税が上がって生活ができなくなるという実感が増税の中心問題。財政を良くするためと、国民の生活を破壊してしまっては元も子もない。そういう思いの正当性を理論的に示したのが、日本共産党の提言だ」
「軍事費や政党助成金のことを言わずに、お金が足りないと国民をだまして税金を取ろうとする政府に腹が立つ」
内部留保の活用
消費税に頼らない財源をどこに求めるか―。大企業がため込む内部留保については、「内部留保は現金ではなく設備投資などになっている」「企業の蓄えは危機に備えたもの。すべて使ってもいいというのは問題」と活用は困難ではとの疑問が出されました。
大企業の内部留保は260兆円に上り、この10年で100兆円近く積み増しています。労働者の賃金は30兆円も減りました。企業は内部留保をため込む一方で、株主への配当や役員報酬を増やしています。労働者の賃金、下請け業者や雇用などにはほとんど還元していません。
小池さんは、こうした日本の大企業の異常ぶりを告発し、内部留保のごく一部を賃金に回すなど経済の生きたお金として有効に活用しようというのが私たちの提案だと説明しました。
法人税をめぐっても、「引き上げは可能か」「企業が海外へ逃げるのではないか」という疑問の声が出されました。
小池さんは企業が海外へ出ていく理由は税制の問題ではなく、需要のあるところに進出することであること(経済産業省の「海外事業活動基本調査」)や大企業に減税しても内部留保に回すことが多いことなどを示し、大企業減税や優遇税制の中止など党の提言を説明しました。
雇用のルールは
雇用は派遣など非正規雇用の問題が中心テーマでした。「派遣社員はメリットがあるから必要ではないか」「製造業が非正規社員を雇うのは安い労働力を求めているからだ」という意見も表明されました。
小池さんは派遣労働については、特殊技能や専門性のある職種で必要とされるところもあるとした上で、「製造業など人をモノのように扱う状況に対しては、企業側にもきちんとものをいい、しっかりした雇用のルールをつくりたい。トヨタ自動車では内部留保のほんのわずかを取り崩すだけで、期間労働者を正社員に登用できる」と提起しました。
「大企業に対する政策は私も賛成」という理学部の学生はこう感想に書きました。「大企業に経済活動のすべてを任せるのではなく、やはりルールもつくらないといけない」