2012年6月6日(水)
貧困根絶は国の責任
米州機構総会 社会憲章を採択
【ラパス=島田峰隆】南米ボリビアのコチャバンバ郊外で開催中の米州機構(OAS)年次総会は4日、貧困削減を目指し、各国国民の社会的、経済的権利の拡充を明記した米州社会憲章を全会一致で採択しました。同憲章は、新自由主義からの脱却を主張する中南米諸国の動きを反映したもので、経済運営や国の発展に果たす国の役割を重視したものとなっています。
憲章は「米州の諸国民は社会正義を熱望しており、各国政府はそれを促進する責任を持つ」と指摘。また「諸国民は連帯、平等、平和、自由の中で発展する権利を持つ。加盟国は貧困、特に極貧を根絶し、すべての国民の生活向上を達成する観点から、発展を促進する義務を持つ」として、国の責任を強調しています。
また、非正規労働の問題を重視し、失業や半失業を減らすとりくみと人間らしい労働を実現する課題を、平等を伴う経済発展を実現するうえで「不可欠の要素だ」と宣言しています。
米州社会憲章は2005年、民主主義の発展には社会的公正が欠かせないという立場から、ベネズエラが策定を提案していました。
OASのインスルサ事務総長は4日、「今でも貧困やあまりに巨大な不平等があるが、社会憲章が(解決の)指針になる」と述べました。
ベネズエラのバレロOAS大使は同日、憲章が6年余りの作業を経て採択されたことを歓迎し、「貧困とのたたかいがOASの中でいつも議論の対象になるべきだ」と強調。メキシコのエスピノサ外相も、「社会的一体性と不平等の削減への特別の配慮」がある文書だと評価しました。
米国は社会憲章の策定には消極的でしたが、今回は賛成しました。ヤコブソン国務次官補は、「民主主義憲章(01年採択)を補完するもので、経済的機会、社会的一体性、人権尊重を促進するだろう」と述べるにとどまりました。