2012年6月6日(水)
きょうの潮流
ふだん何気なく使っている言葉が、ふと気になるときがあります。きのうは「約束」が気になって…▼語源を調べてみました。「約」は、糸をぎゅっと締めて結び、目立たせた目印のこと。忘れないように目印をつけて取り決めをかわす意味をもちます。なるほど、「勺」の「丶」は印にみえます▼「束」は、木を集め、締めつけてしばる。そこから、次のような意味に転じました。動きがとれないようしばる。あるいは、行動にゆるみがないように引き締める。「約束」の、なんというきびしさ、重さ、でしょう▼3年前の総選挙で、「(政権公約に)書いてあることは命がけで実行する。書いてないことはやらないんです」と演説した野田首相。いま「政治生命をかける」と力を込めるのは、「書いてない」消費税増税です。首相にあっては、「約束」も「命がけ」も、軽い、軽い▼かたや、「年金」でも「医療」でも、もっと公約を破れと民主党にけしかける自民党。破れば増税法案の採決に協力するといい、閣僚の首のすげ替えも求めました。野田政権も内閣を改造し、防衛相に自民党の相談相手(ブレーン)の森本敏氏をすえたほどですから、まるで“野田首相、谷垣総裁”の増税大連合のようです▼約束を反古(ほご)にするの「反古」も気になり、語源を調べてみました。もともとは、字や絵をかいた古い紙を裏返してもう一度使うこと。転じて、不用なものやだめなものの意に―。表に「自民党」、裏に「民主党」と書かれた、不用な古紙だって?