2012年6月5日(火)
主張
野田再改造内閣
消費税増税目的の改造は最悪
野田佳彦首相が内閣を改造しました。今年1月に続く改造です。問責決議を可決された前田武志国土交通相や田中直紀防衛相の交代は当然です。小川敏夫法相らもその言動が批判されてきました。問題は首相が「(税・社会保障)一体改革を含め諸懸案を前進させる」と認めるように、今回の改造が消費税大増税と社会保障改悪の「一体改革」法案成立のため、自民党などの協力を取り付ける思惑でおこなわれたことです。国民の意思に反した消費税増税を押し通すため内閣を改造するなどというのは、人事以前の問題として最悪です。
国民の反対踏みにじる
野田首相はつい先日まで、前田国交相や田中防衛相について「反省すべきは反省し、職務に専念してもらう」(1日、衆院本会議)と繰り返してきました。それが突然2人を含む内閣改造に踏み切ったのは、参院での問責決議を重く受け止めたためでもなんでもなく、消費税増税などの法案を成立させるため、自民党との「修正」協議を進めるねらいからです。
消費税増税には国民の多数が反対しています。首相が改造を決めた4日朝の全国紙は、消費税増税の政府案に「賛成」は36%にとどまり、「反対」が57%にのぼるとの世論調査を報じました(「毎日」)。どの調査でも「反対」が5割、6割にのぼります。こうした国民の世論を無視して消費税増税法案を成立させるのに、もともと国民から批判された閣僚の交代を利用するなどというのは、文字通り国民の意思を踏みにじるものです。
国民は2009年の総選挙でも翌年の参院選挙でも、消費税増税に「ノー」の審判を突きつけました。国民への公約を裏切り消費税大増税に踏み出した野田政権と、もともと税率10%への消費税増税を主張してきた自民党が増税法案の成立で「協力」するのは、まさに国民不在の「増税談合」です。
野田政権と自民党の間では法案「修正」で合意できても、国民との間では一致点はありません。国民が反対する増税のための「増税談合」は許されません。「談合」で法案を成立させようとすれば、国民との矛盾は広がる一方です。
国会内外の論戦を通じ、消費税増税が国民の暮らしと経済をどん底に突き落とし、財政そのものも悪化させ、貧困と格差社会に追い打ちをかけることはいよいよ明らかです。負担能力に応じた税制の改革と国民本位の経済の立て直しで消費税増税に頼らない社会保障拡充をとの日本共産党が提言した方向に関心と期待が高まっています。こうした流れに逆らって野田政権と自民党が「増税談合」に突き進むのは断じて許されません。
増税談合阻止の世論を
新たに就任した閣僚の言動も軽視できません。民間人から防衛相に起用された森本敏氏は航空自衛隊出身の元自衛官で、「普天間の代替基地は(沖縄)県民を守る」など、安全保障問題や基地問題で「タカ派」発言を繰り返してきた人物です。消費税増税法案を成立させることをねらった改造でこうした人物を担ぎ出すこと自体、国民と沖縄への挑戦です。
野田首相は改造に当たっての記者会見で会期末までに衆院で採決すると、期限を切って消費税増税法案への執念を見せました。「増税談合」を阻止する国民の世論と運動を盛り上げることが急務です。