2012年6月2日(土)
論戦ハイライト 佐々木議員追及
子ども手当廃止、消費税増税…
負担増だけが残った
「チルドレン・ファースト」から「大企業ファースト」に
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2009年マニフェストで「子ども手当」を約束した民主党。1日の衆院特別委員会で日本共産党の佐々木憲昭議員は、民主党政権が子育ての「経済的負担の軽減」を表明した背後には若い世帯の厳しい生活実態があるとして、家計の急速な悪化を示しました。
▽最も多い所得分布は、20代で200万円台、30代で300万円台と低所得層にシフトしている(1997〜07年、内閣府)
▽可処分所得は29歳以下で25万円、30〜39歳で22万円の減(00〜10年、総務省)
佐々木氏は、「国際意識調査」でも経済的要因で子どもを持つことをあきらめる人が諸外国に比べ飛びぬけて日本が多いことを指摘。岡田克也副総理は「経済的理由が最大のものだ」と認めました。
佐々木氏は「だからこそ多くの子育て世代が民主党の子ども手当に期待して支持したのではないか」と言及。ところが、「子ども手当」は当初(月額2万6千円)の半分の1万3千円にとどまり、それも民自公の「3党合意」で月額1万円(3歳未満と3人目だけ1万5千円)の児童手当へと戻してしまったとのべました。
手取り減少
新しい児童手当を自公政権時代の旧児童手当と比べると、年少扶養控除廃止の影響で、年収400万円台中ごろより上の世帯では実質手取り額がマイナスになります。(表参照)
佐々木 これでどうして「抜本的拡充」などといえるのか。
小宮山洋子厚労相 約束と違うのは申し訳ない。
副総理 非常に残念だ。
佐々木 「すべての子育て世代の負担を軽減する」という政策目的は破綻したということだ。
佐々木氏は、実質手取り額マイナスの子育て世帯をなくすために必要な財源は8千億円程度だと指摘。一方で、昨年の秋に法人税率を30%から25・5%に下げたことなどによる税収減を質問すると、安住淳財務相は「8千億円」と答えました。
佐々木 逆立ちだ。「チルドレン・ファースト(子ども第一)」から「大企業ファースト」に変わったというほかない。
財務相 企業が倒産したり、海外に出て行ったら困る。お給料にも反映する。
佐々木 この間の統計を見ても、減税しても賃金に回っていないのは明白だ。黒字の大企業の内部留保を増やすのか、子育て世代の負担を軽減するのか、どちらを大事にするかの姿勢があらわれている。
佐々木氏は、そのうえ復興増税と消費税増税が重くのしかかると追及しました。
安住氏は、子育て世代(小学生1人)の年間負担増が年収300万円で8万円、年収500万円で12万円、年収800万円で22万円になると答弁。佐々木氏は「大変な負担増になる。『経済的な負担増』だけが残る」と批判しました。
消費冷える
佐々木氏は、消費税増税、年金・医療・介護などの改悪を合わせると20兆円超の国民負担が押し付けられることを指摘し、景気への影響をただしました。
佐々木 GDP(国内総生産)の6割を占めるのが家計消費だ。これだけ負担が増えれば消費が冷え込む。
副総理 借金してやればいいなら、次の世代に負担をかぶせるだけだ。
財務相 みんなで助けあわなければ世の中、成り立たない。
まともに答えられない政府。佐々木氏は、日興証券も「消費税増税などで恒常所得が減り(経済成長は)マイナスに落ち込んだまま戻らない」と予測していることをあげ、「これでどうして消費がプラスになるというのか」と批判しました。
安住財務相は「所得の効果はマイナスになる。ただ社会保障充実の効果もある」などと答弁。佐々木氏が「年金は減らして、医療負担も増やす。どこに社会保障の充実があるのか」と述べ、増税分も赤字国債返済や無駄な公共事業、軍事費に回されると批判すると、安住財務相は「私が(回さないと)言っているのだから間違いない」。委員会室からは失笑がもれました。
佐々木氏は、影響がないよう景気対策をとるという政府の言い訳についても、名目3%の「成長シナリオ」は恣意(しい)的だと追及。政府の経済予測は2002年度から連続11回はずれていると指摘し、「266兆円の内部留保を抱える大企業には手をつけず、庶民からお金をむしりとるようなことはやめるべきだ」と強調しました。
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