2012年6月2日(土)
主張
消費税「修正」協議
世論で増税大連合打ち破ろう
野田佳彦首相は消費税増税法案を今国会中に採決するため、自民党、公明党との「修正」協議をすすめようとしています。
国会の会期末は21日ですが、メキシコの20カ国・地域(G20)首脳会議への出席で首相が16日にも日本を出ることから、15日までの採決が焦点になっています。消費税増税では違いがない民主党と自民党などの「大連合」で国民に増税を押し付ける動きです。
徹底審議して廃案に
衆院の「社会保障と税の一体改革」特別委員会での日本共産党の質問に、野田首相ら政府側はまともな答弁もできない状態です。
佐々木憲昭議員の5月22日の質問では、消費税増税の13・5兆円のうち政府の説明でも7兆円は社会保障以外の分野に使われることが明らかになりました。
それでもなお民主党の前原誠司政調会長は27日のNHK日曜討論で、消費税増税分が「すべて社会保障に使われる」と強弁しています。政府答弁さえ無視して国民をあざむくやり方は許せません。
佐々木議員の6月1日の質問では、消費税増税で子育て世帯をはじめ国民全体が耐え難い負担増になり、暮らしも経済も落ち込むことが改めて明確になりました。
消費税増税と年金削減などが直撃する高齢者の暮らしについては「状況は非常に厳しい」(岡田克也副総理)と政府も認めました。しかし、消費税増税と社会保障の改悪で20兆円に上る国民負担増の経済への影響を質問しても、根拠のない楽観論しか返ってきません。
宮本岳志議員は5月28日、社会保障の「充実」だと政府がいっている「子ども・子育て新システム」をとりあげました。これまでの株式会社の参入、民間委託の促進、詰め込み保育など保育の規制緩和によって、子どもの死亡事故が大幅に増加しています。公的責任を放棄する「新システム」では事故をなくすどころかいっそう深刻にするおそれがあります。
小宮山洋子厚労相は「子どもの安全は第一だが規制緩和にはいい面もある」など多くの子どもが命を落としている現実に危機感も反省もない答弁に終始しました。
中小業者の大半が消費税を価格に転嫁できない問題は導入から20年以上たっても解消されない消費税の根本欠陥です。塩川鉄也議員の23日の追及に首相は「下請けの方が結局、自己負担せざるを得なくなっている」と認めました。消費税を増税すれば中小業者に身銭を切らせ、経営を悪化させる被害がもっと深刻になることは目に見えています。
消費税増税と社会保障改悪の法案は徹底審議の上で廃案にするしかありません。
談合断念に追い込む
消費税増税には5、6割の国民が反対しています。「増税大連合」は国民に隠れて多数の世論を踏みにじる密室談合です。恥じるところがないのなら堂々と国会で議論すればいいことです。国民の多数が反対していることこそ増税勢力が抱える最も大きな矛盾です。
簡単に「みんなで渡れば怖くない」と談合することができない状況をつくってきたのは、消費税増税と社会保障の改悪に反対する国民の怒りと運動です。
世論と運動をいっそう広げて、「談合は無理だ」と増税勢力をあきらめさせるところまで追い込んでいこうではありませんか。