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2012年6月1日(金)

主張

大飯原発再稼働

前提抜きの決断はただの暴走

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 野田佳彦首相が30日夜の原子力発電所に関する4大臣会合で、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について近く自らの責任で判断するとの意向を明らかにしました。事実上の再稼働宣言です。

 東京電力福島原発事故の原因究明が尽くされたわけでも、安全対策や万一の場合の避難計画などが前進したわけでもありません。新たな規制機関もできていません。前提条件も整わないのに決断するのはただの暴走です。首相は関係自治体の理解が得られつつあるからと言いますが、それこそ無謀な再稼働の押し付けそのものです。

再稼働の条件はない

 いま日本にある50基の原子力発電所は、すべて定期点検や故障で停止中です。再稼働できていない一番の理由は、昨年の福島原発事故で安全に運転できる保証がないことが明らかになったからです。

 東日本大震災で破壊され、放射性物質を外部に拡散する重大事故を引き起こした福島原発は、原子炉内部の様子さえわからず、どこがなぜ壊れたのかさえわかりません。東電は地震には耐えたが津波で破壊されたと言うだけで、原因を突き止めたわけではありません。政府と国会の調査委員会も、事故原因の究明は東電任せです。

 事故原因が究明されていないのに、安全基準や対策も確立できません。だいたい全国の原発がどの程度の地震や津波に見舞われるかの想定さえ見直しが迫られているのに安全が確保できるようにいうのは、新たな「安全神話」そのものです。

 政府は先に原発再稼働にあたっての「安全性」についての基準を示しましたが、その中身は昨年の事故後各原発に指示した非常用電源車の配置や机上で原発の耐震性などを検査する「ストレステスト(耐性試験)」の実施などで、大飯原発の場合、事故のさい不可欠な免震事務棟の整備などはすべて計画だけですまされています。まったく安全の名に値しません。

 国会で「規制庁」法案の審議が始まったことを、政府が再稼働を決断する口実にしているのは許されません。審議が始まっても新しい規制機関ができたわけではなく、再稼働にお墨付きを与えるだけの規制庁なら、それは原発の安全を確保する規制機関の名に値しません。再稼働のために法案審議を急ぐなどというのは本末転倒です。

 細野豪志原発事故担当相は30日の関西広域連合の会議で、基準は「暫定的」で新しい規制機関が見直すと認めました。それなら少なくとも基準が見直されるまで再稼働を延期すべきで、「暫定的」などとごまかして、その前に運転を再開すべきではありません。期間を限ってなどと言い出し、再稼働に道を開いた橋下徹大阪市長らの責任も問われます。

撤退決断してこそ

 政府や橋下市長らは、大飯原発を「限定的」でも再稼働させなければ電力供給に不安が出ると言いますが、本来原発の安全性と電力問題はてんびんにかけるものではありません。しかも野田首相は、「経済社会全体の安定と発展のため」原発が重要と言い出しています。再稼働が「限定的」ですむ保証はどこにもありません。

 安定供給をいうなら、一日も早く原発からの撤退を決断し自然エネルギーへの転換や省エネルギーに力を尽くすことこそ重要です。


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