2012年5月31日(木)
論戦ハイライト 社会保障・税特別委
際限なき年金削減狙う
高橋議員が追及
|
30日の社会保障・税特別委員会で年金の連続削減計画を追及した日本共産党の高橋ちづ子議員。際限のない年金削減をねらう「一体改革」の本性が浮かび上がりました。
政府は、1999〜2001年の物価下落時に年金額を下げなかったために2・5%の「もらいすぎ」が生じていると主張。この「特例水準」を3年間でなくす法案を提出しています。
高橋氏が「特例水準」が生じたのはなぜかと問うと、小宮山洋子厚生労働相は「(物価下落時に)厳しい社会情勢や年金受給者の生活に配慮して年金額を据え置いたのが始まり」と答弁。高橋氏は「その出発点を忘れてはならない」と追及しました。
力ずくで解消
高橋 2・5%は10年かけて生じた。3年間で解消するのはあまりにも急激だ。
厚労相 一気にやるのは無理だから3年にした。
高橋 力ずくで解消するということだ。
「『高齢者は年金をもらいすぎ』だというが、高齢者は負担をしてきた」と述べた高橋氏。政府が「基礎年金の国庫負担2分の1の財源だ」といって、年金課税強化と定率減税縮減・廃止により、総額20兆円(年金世代2兆4千億円以上)もの増税を行ってきたことを告発しました。
増税分を流用
高橋 結局基礎年金に使われず、今も交付国債でしのぐという。年金のために使うといった税金を流用したではないか。
岡田克也副総理 財源をきちんと確保できていなかったので、今回消費税を充てる。
高橋 全く説明になっていない。増税しながら年金に使わなかったということだ。
高橋氏は、無職の高齢夫婦世帯の可処分所得は10年間で平均月2万9544円も減っていると指摘し、「消費者物価が下がっている」といっても大型家電の下落が原因であり、介護保険料などの負担増は反映していないと批判。「新たな所得が見込めない高齢者の年金を引き下げることはあってはならない。将来世代にも大きな影響を与える」と強調しました。
さらに、「少子高齢化」を口実に自動的に年金額を減らす「マクロ経済スライド」を追及。デフレ下では発動できないという最低限の歯止めまで取り払うのは「年金をどこまでも下げるということで、あまりに乱暴だ」と述べました。
小宮山氏は「財政の安定化は重要」と述べ、デフレ下でもマクロ経済スライドを発動する考えを強調。これによる年金の引き下げ幅は0・9%と説明してきましたが、特例水準解消後、2015年に発動すれば1・2%になると認めました。高橋氏は「特例水準解消を3年間で強引に進める背景にも、終了後にマクロ経済スライドを発動できるようにするねらいがある。やってはならない」と批判しました。
高橋氏は、社会保障を消費税で賄うとする政府の考え方の誤りを突きました。
小宮山氏は、消費税を10%にしても消費税収と医療などの社会保障4経費との差額が17兆円にのぼると説明。高橋氏が「全部消費税増税でまかなうつもりか」と迫ると、小宮山氏は「消費税だけでやるということではない」としながらも、「どう埋めるかは検討していく」と答えました。
高橋氏は「消費税が社会保障の目的税だといえば際限のない増税になり、増税がいやなら社会保障を抑制するしかなくなる」と指摘。「そもそも社会保障をツケ回しというのが間違い。再分配で格差を是正するという社会保障に使うのは税金本来の役割だ」と強調しました。