2012年5月31日(木)
申請の足遠のく恐れ
全国会議緊急会見「生活保護たたき」批判
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生活保護問題対策全国会議は30日、東京都内で、お笑いタレントの母親の生活保護受給報道により生活保護制度批判が強まっている問題について、緊急会見を開きました。
NPO自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「政治的な動きが絡んでいる」と批判。自民党が給付水準の10%引き下げなどを含む生活保護政策を4月に発表し、小宮山洋子厚労相が自民党の提起を踏まえての給付額引き下げや扶養義務強化の検討の意向を示していることにふれました。「この動きが強化されれば、ますます申請の足が遠ざかり、命を落とす人が出る」と問題を指摘しました。
全国生活保護裁判連絡会の林治弁護士は、現行の生活保護制度では扶養義務者の扶養は保護利用の要件ではなく、民法が示す3親等内の親族の扶養義務を負うのは極めて例外的な場合だ、とのべました。
生活保護を受給している50代後半の男性は報道について、「生活保護を受給しつつ仕事を探している人たちが、精神的に追い詰められている。後ろめたさをおぼえ命を絶つ人が増えるのでは、と危ぐする」と話しました。
40代の女性は夫の暴力から避難した後、生活保護申請に伴う扶養照会によって夫に自身の居所が知られてしまった体験を語りました。「いまでも申請の際に、資産状況などの厳しい調査を受けている。扶養義務が強化されれば、生活保護申請が難しくなる」と訴えました。