2012年5月31日(木)
原発再稼働テスト
“お手盛り検査”東芝・日立も
原子力行政の欠陥鮮明
原発の再稼働のために導入したストレステスト(耐性試験)の実際の作業を、原子炉を製造したプラントメーカー自身が受注して行っていた問題で、東芝と日立も行っていることが30日、本紙の取材で明らかになりました。自社製原子炉の安全性を製造メーカーが調べる“お手盛り”検査の実態は、ストレステスト自体の信頼性をゆるがすとともに、自前の検査組織を持たずメーカー任せで安全審査をしてきた日本の原子力行政の構造的欠陥も浮き彫りにしています。
日立製作所と東芝は、沸騰水型原子炉(BWR)のメーカーです。日立は米国メーカーGE社とつくった子会社「日立GEニュークリア・エナジー」(日立GE社)で、GE社製の原子炉にも関わっています。
ストレステストをめぐっては、日立製原子炉は、志賀原発1、2号機(石川県、北陸電力)と柏崎刈羽原発7号機(新潟県、東京電力)の計3基の結果が国に提出済みです。東芝製は、柏崎刈羽原発1号機と東通原発1号機(青森県、東北電力)の計2基が提出されています。
本紙の取材に、日立GE社の担当者は、「製造したのだから、(検査業務をするのは)私どもでしかありえない」と3基のテスト業務を請け負った事実を認めました。
また、今後のストレステストが予定される日立とGE社製の原発についても「当社で業務委託を受ける予定だ」とのべました。
東芝の担当者も「個別の電力会社や発電所について、こちらから申し上げることができないが、当然、ストレステストに協力させていただいているのは事実」と認めました。
本紙は19日付で、国内24基の原子炉を納入した三菱重工業が自社製原子炉のストレステスト業務を行っていることを報じました。同社と日立GE社と東芝の3社が国内のほぼすべての原子炉を納入しており、今後、行われていく全ての原発のストレステストが“自作自演”で行われていく可能性があります。