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2012年5月30日(水)

原子力規制機関関連法案

衆院本会議 吉井議員の質問

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 衆院本会議で29日、日本共産党の吉井英勝議員が行った、原子力規制機関関連法案(政府案・自公案)に対する質問は次の通りです。


 東京電力福島第1原発事故が浮き彫りにしたのは、東電はじめ電力業界と歴代政府が「安全神話」に浸り、原子炉メーカー、鉄鋼、ゼネコンなど“原発利益共同体”ともいうべき根本的な問題です。被害補償と復興、被災者の暮らしと権利回復のために、この利益共同体に責任を果たさせるべきです。

 法案について三つの角度から質問します。

 第一は、原子力利用の推進と規制の分離、独立性の問題です。

 1999年のJCO事故後、日本共産党は原発の推進機関と規制機関とは完全に分離しなければならないと指摘しました。国際的にも原子力の安全に関する条約でうたわれているものです。規制機関に「権限」「財源」「人的資源」を与え、十分な体制を確立することを求めてきました。

 ところが自公政権は原発推進の経済産業省の下に原子力安全・保安院を新設しました。この致命的な誤りが事故に結びついたのではありませんか。

 原子力規制庁を置く環境省は原発推進の一翼を担ってきました。環境省は原発立地に「ノー」を言ったことは一度もないばかりか、温暖化対策基本計画でも地球温暖化対策基本法案でも「原発推進」を明記しています。

 人材面の独立性はどうか。規制組織の職員には経産省、文科省などの職員をあてます。原子力委員会、原子力安全委員会事務局には電力、原子力産業などの在籍出向が常態化し「霞が関出張所」となっています。法案はこれを改めるものになっていません。

 財源についても、原発推進が目的の電源開発促進税を財源としていることに手を付けないのでは規制のための財源とはなりません。

 第二は、事故原因を教訓とする原子炉規制の問題です。国会事故調査委員会が原因究明と検証作業を行っていますが、東電会長や当時の政権中枢に対する調査の途上にあり、新事実とともに新たな疑問も生まれています。

 なぜ津波対策を取らなかったのか、なぜ過酷事故対策をとらなかったのか。事故後の対応の誤りはどこにあったのか。原発事故で明らかになった知見を電力会社に実行させることができないのはなぜか。これすらなしに再稼働など論外です。

 (原子炉は)「運転期間40年」を原則としつつ、さらに20年、つごう60年間の運転も可能としています。老朽化原発の半永久的稼働を認めるものではありませんか。

 法案では、規制緩和はそのままにして、事業者による安全評価を明記しています。新たに原発の特定機器の個別審査を省略する型式証明を導入します。原発輸出のための大量生産を狙ったものではありませんか。

 第三は、原子力基本法の改正問題です。

 政府案では、原子力基本法第2条の基本方針で「国際的動向を踏まえつつ」放射線対策を行うとしています。ICRP=国際放射線防護委員会の人体への線量基準は内部被ばくを軽視するものだとして厳しく批判されていますが、これをどう踏まえているのですか。

 1955年に制定された原子力基本法は、原子力の利用は平和の目的に限り、自主、民主、公開の「原子力平和利用3原則」をうたいながら、一方で日米協定によってアメリカから濃縮ウランの購入を義務づけられ、アメリカが進める「アトムズ・フォー・ピース」から始まった核の商業利用を通じた世界支配体制に組み込まれたものです。そのため、日本共産党は原子力基本法に反対しました。

 以来50年、日米同盟、日米原子力協定のもとで対米従属的なエネルギー政策が進められてきました。福島原発事故を経験した今こそこの体制の根幹からの見直しが必要です。

 また、自公両党提案の原子力基本法「改正」案では、原子力利用の目的について「我が国の安全保障に資する」こととしています。

 これは日米同盟を抜きに考えることはできません。東芝、ウエスティング・ハウス、日立製作所、三菱重工業、ゼネラル・エレクトロニクスなど「日米原発利益共同体」は、世界の原発市場の制覇をねらう戦略を進めています。野田内閣の進める原発輸出戦略は、これと軌を一にしたものではありませんか。

 オーストリアでは1978年、完成したばかりのツヴェンテンドルフ原発の国民投票を行い、原発を選ばない道を進みました。日本は原発推進に暴走し、年間発電の3割を原発でまかなうという異常なエネルギー需給構造にしてしまいました。しかし、ドイツは福島事故のあと2022年までに原発をゼロにする決定を行いました。

 日本共産党は、今こそ「原発ゼロの日本」への政治決断を行い、再生可能エネルギーの爆発的普及に力を尽くし、原発に依存しない持続可能な道筋を選択すべきだと考えます。

 原子力の規制機関は「原発ゼロ」への道に沿って廃炉、使用済み核燃料処理までの全体を規制するものとすべきです。


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