2012年5月30日(水)
論戦ハイライト
不安あおる「増税広報」
論拠崩した塩川氏の質問
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29日の衆院社会保障・税特別委員会で、消費税増税を押し付ける政府広報のごまかしを追及した日本共産党の塩川鉄也議員。政府側にまともな答えはなく、増税の論拠は崩れました。
苦しい言い訳
政府広報「明日の安心 社会保障と税の一体改革を考える」では、1965年は現役世代9人で1人の高齢者を支える「胴上げ型」、現在は3人で1人を支える「騎馬戦型」、2050年には1人を1人で支える「肩車型」になると説明。不安をあおり、消費税増税を正当化しています。
塩川 現役世代が高齢者を支えるというが、子どもを支える負担は誰がしているのか。
岡田克也副総理 現役世代だ。
塩川 現役世代は高齢者だけでなく、子どもも支えている。これが正確な実態だ。
さらに塩川氏は、労働力人口に対する全人口の割合を質問。小宮山洋子厚労相は「1965年は2・05、2012年は1・96、30年は1・89」と答えました。塩川氏が「働く人が全人口を支える比率は、過去、現在、未来にわたって変わらない」と指摘すると、岡田氏は「2100まで延ばすと変わるのではないか」と苦しい言い訳しかできません。
塩川氏は、政府が数字を出していないことをあげ、「こんなごまかしの説明で消費税増税を合理化するのは認められない」と批判。内閣府の報告書(12年3月)も「若・中年者の負担感や不安感を実態以上に高めている」と批判していると指摘しました。
塩川 事実にもとづいた議論こそ必要だ。政府の理屈はごまかしで、世代間の対立をあおる有害な議論だ。
副総理 (報告書は)内閣府が出したものでなく、研究者が出したものだ。
塩川 事実をゆがめる議論は政治不信を拡大するだけだ。ただちにやめるべきだ。
企業負担抜き
塩川氏は、もう一つのまやかしとして、「みんなで支えます」といいながら、政府広報には「企業負担が出てこない」と追及しました。
塩川 企業は消費税を負担しているのか。
副総理 最終的には(価格に)転嫁されて消費者が負担する。ただ、中小零細企業のなかにも不本意ながら(転嫁できず)負担を強いられるところも出てくる。
塩川 中小企業が価格に転嫁できないということを認めたのはきわめて重大だ。
攻勢的な質問で塩川氏は「肝心の法人税が出てこない」と畳み掛けました。
「大企業は1円も負担していない。大企業ほど法人税の負担割合が低くなっている。担税力のある大企業の負担を抜きにした社会保障財源論はおかしい」
さらに「8億円以上の税金を使って国民をミスリードする宣伝によって消費税増税を押し付けるのは認められない」と強調しました。