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2012年5月30日(水)

きょうの潮流

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 まだ身近に人の死を知らなかった幼いころの話です。命のはかなさを目の当たりにした夏の日の衝撃が忘れられません▼毎年、ツバメが軒下に巣をつくっていました。その日、ふとみあげると、アオダイショウが巣を襲っている。ヒナを食い、やがてとぐろを巻くアオダイショウ…。どこにでもある自然の営みでしょう▼しかしツバメは、一つ屋根の下に暮らす家族のような存在でした。アオダイショウが怖くて助けられなかった自分が情けない。子ども心に無念でした。人は、洞くつに住んでいた時代からツバメと暮らしています。人にとって、ハエやカをとるツバメはありがたい。ツバメにとって人は、身を守ってくれて頼もしい▼「日本中のツバメがその年に捕食する害虫を人間がとるとしたら、八万六千人からの人員が毎日最高率の労働を二百日もつづけなければなりません」。大田眞也著『ツバメのくらし百科』が紹介する、1960年愛鳥週間のしおりです▼しかし今、日本にツバメは当時の半分ほどしか来ないようです。天敵のせいだけではありません。餌場の田や畑、巣をつくる日本家屋が減っています。日本野鳥の会が心配します。環太平洋連携協定(TPP)に参加すれば、もっと耕作放棄地がふえかねない、と▼会は、原発事故の影響も調べます。放射能のたまりやすい泥で巣をつくるツバメ。チェルノブイリ事故では、生存率が下がり精子の奇形も現れました。ああ、ツバメ。「燕(ツバメ)が切る空の十字はみづみづし」(福永耕二)


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