2012年5月28日(月)
東電2役員天下り
来月の原発事故引責辞任後に
庶民に値上げ求め 自分はぬくぬく
福島第1原発事故を受けて6月下旬に引責辞任する東京電力の役員のうち、2人の常務が辞任直後にグループ企業の社長に就任することが分かりました。国民に電気料金値上げの負担を押し付けようとしている一方で、自分たちはぬくぬくと「天下り」という事態に、批判の声が上がっています。
東電が45%出資する東証1部上場の電力機器メーカー、「東光電気」(東京都千代田区、資本金14億5200万円)に天下りするのは、高津浩明常務(59)。東電で「お客さま本部長」を務め、先日も電気料金値上げへの理解を求めるため、テレビ番組に出演したばかりです。
システム企画部長などを務めた宮本史昭常務(57)は、東電が主要株主で、東電の電子通信設備総合保守会社に選定されている「日本フィールド・エンジニアリング」(同品川区、資本金7500万円)のトップに転じます。
東電の6月27日の株主総会で退任予定の取締役は、両氏のほか、勝俣恒久会長、西澤俊夫社長など11人。うち、相澤善吾副社長(原子力・立地本部長)は、代表執行役副社長に、小森明生常務(原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長)、佐野敏弘常務(技術開発本部長)はそれぞれ常務執行役として、ひきつづき東電執行部に残留します。(表参照)
相澤、佐野の両氏は、「火力、原子力発電の発電技術のより高度な開発と普及」を掲げる社団法人「火力原子力発電技術協会」の会長、専務理事でもあります。
また勝俣会長は原発で作った電気を電力会社に売っている日本原子力発電の非常勤取締役を6月以降も継続することになっています。
今後、辞任した他の役員も天下りする可能性があります。東京電力には、賠償金を支払うため、すでに9288億円もの支援がなされ、平均10・28%もの電気料金値上げも計画しています。こうしたなか、グループ企業の整理もせず、「天下り」では、国民の納得は得られません。
東電の取締役は退任するけど…
相澤善吾副社長→代表執行役副社長/火力原子力発電技術協会会長
高津浩明常務 →東光電気社長
小森明生常務 →常務執行役
宮本史昭常務 →日本フィールド・エンジニアリング社長
佐野敏弘常務 →常務執行役/火力原子力発電技術協会専務理事
《注》東京電力発表資料などで作成