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2012年5月28日(月)

記者座談会

消費税増税めぐりせめぎあい

民自公「大連立」で強行狙うが…

国民世論の圧力で矛盾激化

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 先週、本格化した衆院特別委での消費税増税法案の審議―。自民党が「早期採決」を提起し、今週には野田佳彦首相と法案に「反対」を表明している小沢一郎・民主党元代表の会談が開かれるなど、予断を許さない状況です。情勢について担当記者で話し合いました。


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(写真)佐々木憲昭議員に答弁する野田佳彦首相(右)=22日、衆院社会保障・税特別委

  民主党の輿石東幹事長は、野田・小沢会談について「一つにまとまることができるように汗をかきたい」とのべたが、前原誠司政調会長は「首相に妥協の余地は百パーセントない」としている。

  いろいろな見方が出るのは、小沢氏がもともと消費税増税論者だからだ。昨年の代表選でも、消費税増税を明言する海江田万里氏を推した。

  一方、自民党は野田首相に対し、「命をかけろ」「腹を切る覚悟で」など、特別委の審議の最初から“大声援”を送ってきた。伊吹文明元財務相は、消費税増税提案を「大歓迎」と切り出している。雰囲気は、まさに事実上の大連立だ。

  自民党は最近まとめた「社会保障改革 対案」で、「社会保障制度改革国民会議」を設置するとした。民主党とへだたりの大きい年金制度設計などについては議論を先送りし、増税を先行させる提案だ。野田首相も「前向きな提言」と応じている。

  メディア関係者も「自民党の執行部、党税調関係者はここで一気に消費税を通してしまいたくてしょうがない」と指摘する。

財源示す共産党

  公明党も増税賛成だ。みんなの党も「増税の前にやるべきこと」は、社会保障6兆円削減と法人税7・6兆円減税だというなど、財源論はデタラメだ。

  消費税増税の害悪を明確にしながら、代わりの財源論まで示して堂々と論戦しているのは共産党だけだ。

  佐々木憲昭議員の質問(22日)には「庶民の気持ちを代弁してくれた」「増税やむなしと思っている人間だが、消費税増税のからくり、大企業の税金の低さをはじめて知り、驚いた」と反響が大きかった。

  自民党は、先週後半に「早期採決」まで言い出した。国会は来月21日に会期末を迎えるが、その前の15日に衆院採決という日程まで取りざたされている。野田首相にはまさに助け舟だ。民主党内には「自民党案丸のみでいい」という議員もいて、急速に採決強行の流れが強まっている。

  財界、財務省のプレッシャーが背景にある。日本経団連は24日、「通常国会の会期中に(法案を)確実に成立させることが不可欠」という声明を出している。

  野田首相はG8首脳会合で消費税増税を「国際公約」した。

  しかし、状況は単純ではない。なにより、国民世論は約6割が反対だし、それが増え続けているからだ。

  民主党内も、自民党内も増税強行でまとまっているとはいえない。ある民主党関係者は、「強引に採決に突っ込んだら民主・自民それぞれでセクト(分派)化が進む。衛星が大気圏に突入して火を噴きながら解体していくようなことになる」と話していたよ。

  自民党の閣僚経験者や税調関係者にも「景気対策なしに増税するのは難しい」、「いつか税率アップは必要だが、この不景気でやることには反対だ」と述べる議員がいる。

  公約破りの民主増税案に協力したら“増税大談合”と批判されることは必至だ。

原発の再稼働も

  原発再稼働問題や選挙制度改革問題もからんでくる。

  原発再稼働では、国民の8割近くが反対している。消費税増税に加え、原発再稼働まで強行姿勢を示せば、政権がもたないという見方もある。

  選挙制度改革では、民主党が比例80削減に固執しているのがネックだ。民意をゆがめる小選挙区制度の弊害がここまで明らかになっているのに、民意を最も正確に反映する比例定数を削減するという路線だ。

  野田内閣と自民党の事実上の大連立で強行突破しようとしているが、世論の壁は高く、激しくせめぎあっているということだ。

  財源といえば消費税、成長といえば大企業応援という民自公路線に対し、消費税に頼らない道、国民の懐をあたためる成長路線への抜本転換へ、日本共産党の出番だ。


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