2012年5月27日(日)
リアル@社会
ダンスに許可必要?
風営法改正への関心高まる
東京、大阪、京都を中心に「風俗営業法(風営法)」を根拠として取り締まりが強まっている「ダンスクラブ(クラブ)」。「ダンスに許可がいるの?」「時代遅れの法律で文化を生み出す場を奪わないで」と、ダンスクラブと風営法改正への関心が高まっています。29日には、関係者による同法の改正を求める署名もスタートします。(北野ひろみ)
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風営法について知ろうとミュージシャンらが22日夜、大阪市内で開いたイベントでは、若者たちが弁護士やクラブ経営者の話にじっと耳を傾けました。
「ダンスを踊らせた罪で逮捕します」―。
会場いっぱいにつめかけた約50人の参加者から、思わず笑いがもれました。大阪の老舗ダンスクラブを経営する男性(49)が風営法に違反(無許可営業)したとして摘発されたのは今年の4月。「踊らせたから逮捕って、冗談かと思いました。風営法は治安を維持するための抑止力という認識でしたから」
■納得いかない
営業終了後には周辺の清掃をするなど、近隣への配慮を行いながら18年間営業してきたといいます。取り締まりが厳しくなっていた前月には、営業形態を変更するとした誓約書を警察に提出。準備を進めている矢先の逮捕でした。「今の法律では無罪にはならないでしょう。仕方ないけど、踊らせたから逮捕ということに納得がいかない」
同法は1948年の戦後の混乱期、「善良の風俗(略)を保持」し「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」することを目的に制定されました。「風俗営業」として8種類(性風俗は別)を定め、営業時間や区域を限定。営業には、都道府県公安委員会の許可が必要です。
クラブは「ナイトクラブその他施設を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」(第2条3項)に該当。施設の広さや明るさなどが細かく規定されています。
クラブと風営法の問題は、2月の京都市長選で、候補者の中村和雄弁護士が「時代遅れの風営法の改正を求める」と発信し、注目を集めました。
投票日目前には「京都のクラブシーンを守り、考える会」がつどいを開催し、100人が参加しました。かけつけた中村氏は、1998年に映画の流行や市民運動に押され、社交ダンスが規制の対象から外された例を報告。参加者は「クラブへの悪いイメージを見て見ぬふりしてきた僕らにも責任はある」「変えていくのは自分たちの力」と話し合いました。
■署名運動開始
3月には京都・大阪を中心にクラブ関係者や利用者らが「Let’s DANCE(レッツダンス)署名推進委員会」を立ち上げ、29日から法改正を求める署名を開始します。坂本龍一さんや大友良英さんなど音楽家らが呼びかけ賛同人に名を連ねています。
同会のホームページ(http://www.letsdance.jp/)は、ツイッターやフェイスブックを通じて、公開からわずか3日間で100万件を超えて拡散されています。利用者らでつくる「クラブユーザーの会」が立ち上げられるなど運動が広がっています。
ダンスクラブ DJ(ディスクジョッキー)が音楽を流し、客がダンスを踊る店。映像、ファッション、アートなど文化の発信の場にもなっています。「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の許可を受けた場合、営業時間は深夜0時まで(一部地域は深夜1時)。