2012年5月26日(土)
全国活動者会議
志位委員長の幹部会報告
志位和夫委員長が24日、「総選挙勝利、『党勢拡大大運動』目標総達成、全国活動者会議」でおこなった幹部会報告は次のとおりです。
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参加されたみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、おはようございます。まず、私は、日ごろのみなさんのご奮闘に心からの敬意を表明するものです。(拍手)
私は、幹部会を代表して、全国活動者会議への報告をおこないます。
この全国活動者会議の任務は、昨年7月の第3回中央委員会総会以来、10カ月にわたって取り組んできた「党創立90周年をめざす党勢拡大大運動」の目標を総達成するための固い意思統一をはかることにあります。
わが党の全国活動者会議は、1960年の第1回会議が、当時の党勢倍加運動をやりきる一大跳躍点となったのをはじめ、過去14回開催されてきましたが、いずれも国政選挙など選挙戦の勝利や、党勢拡大の集中的な運動の成功に大きな力を発揮してきました。今回の全国活動者会議は、25年ぶりのもので第15回になります。「大運動」の取り組みのなかで、全国に生まれている経験を大いに交流し、総選挙の勝利にむけて取り組みの飛躍をはかる会議として、大きな成功をおさめるよう、参加されたみなさんの奮闘を、心から訴えるものです。(拍手)
一、閉塞状況を打開する展望を示し、国民とともにたたかう党の値打ちに確信をもって
三つの政治的探求と努力――閉塞を抜け出す道を求める国民の気持ちにこたえて
まず、4中総決定が分析した「二大政党づくり」の破たんという新しい情勢のもとで、わが党が取り組んできた政治的探求と努力について、報告します。
2009年夏の「政権交代」から2年9カ月がたちましたが、「自民党政治を変えてほしい」という「政権交代」に託した国民の願いは、ことごとく裏切られました。野田・民主党政権のもとで、原発への固執と無謀な再稼働への動き、消費税の大増税、普天間基地の「辺野古移設」、TPP(環太平洋連携協定)参加への暴走など、どの問題でも、「ノー」の審判をくだしたはずの自民党政治がよりひどい形で復活しています。
なぜこうなったのか。「アメリカいいなり」「財界中心」という古い政治の「二つの害悪」に縛られ、抜け出せなかった結果であります。「二つの害悪」を断ち切る改革をすすめてこそ、閉塞(へいそく)を打開する展望が開けてきます。
いま、「二大政党」の体たらくのもとで、国民の閉塞感と政治不信はきわめて深刻です。多くの国民のなかに、現在の政治を「よしとしない気分」がこんなに広がっているときはありません。どういう方向を選ぶかという答えはまだ出ていませんが、国民は、閉塞を抜け出す道を強く求めています。こうした国民の気持ちにこたえて、私たちは、4中総後、三つの政治的探求と努力をすすめてきました。
「財界中心の政治」を断ち切るとどういう展望が開かれるか
第一は、「二つの害悪」を断ち切る改革をすすめると、どういう展望が開かれるかを、経済でも、外交でも、明らかにする新たな探求と努力をはかってきたことであります。
「財界中心の政治」を断ち切る改革をおこなえば、どんな展望が開かれるか。
原発問題――「原発ゼロの日本」の政治決断をしてこそ展望が開ける
原発問題ではどうでしょうか。
5月5日に北海道の泊原発が止まり、原発の稼働がゼロになりました。これは、国民の世論と運動が原発固執勢力を追い詰めた第一歩の重要な成果であります。九州電力による「やらせ」を明らかにし、玄海原発の再稼働を止めるなど、日本共産党と「しんぶん赤旗」が果たした役割も大きかったといえると思います。(拍手)
私は、5月13日、福井での記者会見で、こうした新しい状況のもとでのわが党の基本的立場を表明しました。政府による再稼働の押し付けにたいして、一片の道理も科学的知見もない無謀きわまるものとして強く反対するとともに、いま政府がなすべきは、「原発ゼロの日本」への政治決断だということを訴えました。
そうしてこそ展望が開かれます。当面の電力供給のために、LNG(液化天然ガス)などの確保をはじめ電力の供給力を高める仕事も、節電・省エネルギー対策をはかる仕事も、「ゼロ」の決断をしてこそ本腰が入ります。また、再生可能エネルギー、自然エネルギーの普及、低エネルギー社会への転換も、「ゼロ」の決断をしてこそ本格的に取り組めます。さらに、原発交付金を、自然エネルギー開発を支援するものに切り替え、地域に新たな産業と雇用をつくりだすとともに、立地自治体の当面の仕事や営業を守る仕事にも、「ゼロ」の決断をしてこそ本腰が入ります。
この決断をおこなうには、原発にしがみつく「財界中心の政治」を断ち切ることが必要です。この点で、政府が、財界の圧力に屈し、「原発頼み」「再稼働頼み」の姿勢を続けている。そのことが、当面の電力需給でも、自然エネルギーの開発でも、原発が立地している地域の雇用や営業の対策でも、責任ある対応がとれず、行き詰まりを深める結果を招いていることを、きびしく指摘しなければなりません。
原発問題でも、問われている問題の核心は、「財界中心の政治」を続けるか、それを断ち切る改革か、ここにあるということを強調したいと思います。(拍手)
消費税問題――「提言」が提起した根本的転換と、広がる共感の声
消費税大増税の問題はどうでしょうか。
政府がとっている経済政策は、端的にいって二重に先がない、破たん必至の道であります。
第一に、消費税頼みの道は、国民に耐え難い苦難を強いるだけでなく、日本経済を壊し、結局は財政もいっそうの破たんに落ち込ませます。
第二に、大企業応援の「成長戦略」では、一部の大企業にだけ巨額の富が蓄積し、国民の所得は落ち込み、経済成長もできないことは、この10年余で実証ずみであります。
日本共産党が、2月7日に発表した「社会保障充実、財政危機打開の提言」は、この二つの矛盾の中心点にメスを入れ、政策の根本的転換を求めるものとなっています。
――「提言」は、税財政政策のあり方として、消費税頼みから、「応能負担」の原則への抜本的転換を求めています。まず無駄遣いの一掃とともに、富裕層と大企業に応分の負担を求める。次の段階では、国民全体で支える必要がありますが、その場合も消費税に頼るのではなく、所得税の累進強化で財源をまかなうという方策を提案しています。
――同時に、「提言」は、大企業応援の「成長戦略」から、「国民の所得を増やす経済改革」への抜本的転換を求めています。労働、中小企業、農林水産業、エネルギーなどで、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」への改革をすすめる。この改革によって、大企業の260兆円の内部留保を社会に還流させ、国民の所得を増やし、日本経済を内需主導の健全な成長の軌道にのせることによって、税の自然増収が生まれてきます。
わが党の「提言」は、この二つの柱の改革を同時並行で実行に移すことで、消費税に頼らずに社会保障、経済、財政の危機を一体的に打開する展望を示しました。それは、「財界中心の政治」のゆがみの核心部分にメスを入れるものであり、党綱領が示す経済的民主主義に立った経済改革を、今日の情勢のもとで具体化したものであります。
この間、全国各地で「提言」をもとに懇談会や対話が取り組まれています。保守や無党派の方々から経済の専門家まで、広い国民から共感の声が寄せられています。経済学者の山家悠紀夫(やんべ・ゆきお)さんは、「財源が具体的、現実的で、一つとして無理がない」と評価してくださいました。
さらに、政府の審議会などに参加し、個々の政策課題ではわが党と異なる意見をもつ著名な学者・研究者からも、“現実に立脚した対案”との評価が寄せられていることを紹介したいと思います。
ある研究者は、「将来的な消費税増税は必要」という立場ですが、「提言」がのべている「社会保障の充実」、「富裕層と大企業の応分の負担」、「内需主導の経済成長」などに、強い賛意を示し、わが党への期待をのべました。この研究者は、対話のなかで、「共産党が市場経済を肯定している」と知って驚き、「本当ですか。意外でした」、「もっと『赤旗』でバーンと宣伝してください」と語ったとのことでした。そうしたわが党とこれまで接点のなかった研究者からも強い賛意が寄せられています。
別の研究者からは、共産党が「経済のまともな成長をめざす『提言』を出した」こと自体への驚きが表明されました。この方も、「将来は消費税増税は必要」という立場ですが、「いま社会保障の充実に舵(かじ)を切らなければ日本社会そのものが壊れる」とわが党の社会保障政策に賛同し、富裕層への増税、企業負担の引き上げなどにも賛意を表明しました。この研究者は、「みんなの党」や橋下・「維新の会」などの勢力が、「いいかげんな財源論」をふりまいていることを、「きわめて危険」とのべる一方、「国民はバカではない。情報をしっかりと提供し、社会保障や経済の問題を議論すれば、必ずいい結論が生まれる。そういう議論を起こしていきたい」と語りました。
この間の全国各地の取り組みでも、わが党の「提言」が、良識ある人々を激励し、国民のなかで健全な議論を喚起し、閉塞感を変革のエネルギーに転化する力を持つことが、証明されているのではないでしょうか。
「提言」の立場は、ヨーロッパでの変化とも響き合っています。5月6日のフランス大統領選挙で、国民犠牲の「緊縮政策」を推進してきた現職が敗れたことは、世界に衝撃を与えました。ヨーロッパでは、この1年で、10カ国以上で政権交代や政権崩壊が起こっています。共通しているのは、緊縮一辺倒の政策――労働の規制緩和、福祉切り下げ、公務員の大幅削減、付加価値税の増税などにたいして、国民がノーの審判をくだしたことにあります。欧州のメディアは「緊縮策に弔いの鐘が鳴った」と報じました。ILO(国際労働機関)が今年4月に発表した「2012年版世界労働リポート」は、「緊縮のわな」と警告し、政策転換を提案しています。欧州でおこっている事態の行方は予断をもっていえませんが、国民に犠牲を押し付ける路線に未来がないことは明らかであります。
みなさん。1600万部作成した「提言」ダイジェストパンフを活用して、広い国民に「提言」を伝え、消費税大増税反対の大きな国民的うねりをつくりだそうではありませんか。(拍手)
「アメリカいいなり政治」の根源――安保条約をなくすとどういう展望が開かれるか
「アメリカいいなり政治」の根源にある日米安保条約をなくすとどういう展望が開かれるか。私は、5月12日の全国革新懇の年次総会での記念講演でまとまった話をいたしました。これは、記念講演の形で表明しましたが、常任幹部会の集団的検討をへて練り上げた内容であります。日本共産党の「外交ビジョン」として、大いに活用していただきたいと思います。
「外交ビジョン」――国民の願いや不安への攻勢的な回答を示す
「外交ビジョン」では、日米安保条約発効60年の今年、各分野から「こんなアメリカいいなりの国でいいのか」という声が噴き出す新しい状況を踏まえて、「日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか」を正面から押し出す論立てとしました。そうした論立てとしたことによって、いま国民が答えを求めている問題に、攻勢的な回答を示すことができる内容となったと思います。たとえば――。
安保条約をなくしてこそ、米軍基地問題の解決の根本的な展望が開かれます。沖縄の基地問題をどう解決するか。島ぐるみの一致点を大切にし、すみやかな基地撤去を求めながら、条約第10条の権利を行使して、通告によって安保条約をなくせば、すべての基地をなくすことができるという展望を、大いに示していくことが大切であります。
また、安保条約をなくしてこそ、日本が、東アジア地域で軍縮のイニシアチブを本格的に発揮できる立場に立つことができます。この地域では、一方で、米国が「アジア太平洋重視」と称して新たな覇権主義の戦略をすすめています。他方で、中国の軍事力の増強という問題があります。「外交ビジョン」は、この状況をどう打開すればよいかという国民の不安や疑問にたいする回答ともなっています。
「外交ビジョン」は、“軍事依存の安全保障”から抜け出し、軍事に頼らない“平和的安全保障”を追求することを提唱しています。これは異なる社会体制、発展段階、文明をもつ国々が共存し、経済的交流と相互依存を、年を追うごとに緊密にさせつつある東アジア地域の現実を踏まえた提案であります。それは、理想論ではなく、現に東南アジア諸国連合(ASEAN)が実践している先駆的実例を、北東アジアにも広げようという提案です。それは、この間、わが党が取り組んできた野党外交の生きた経験をふまえた提案となっています。
安保条約の廃棄は、党綱領が示す民主的改革の要中の要の課題
わが党は、日米安保条約のすみやかな解消をめざして奮闘しますが、安保解消以前にも平和のための緊急の取り組みを重視することは、いうまでもありません。
「外交ビジョン」では、日米安保条約の廃棄をめざす取り組みとともに、東アジアに平和的環境をつくる緊急の外交努力の方向も4点にわたって端的に示しました。(1)軍事的対応の拡大と悪循環をきびしくしりぞける、(2)米中・日中関係では、軍事力で対抗する思考から抜け出し、軍拡から軍縮に転じることを党として求める、(3)領土をめぐる紛争問題は、歴史的事実と国際法にもとづく外交的解決に徹する、(4)歴史問題の解決は、東アジアに平和的環境をつくる土台となる――などであります。
他の党は、あれこれの「改革」をいっても、どの党も日米安保条約という異常な従属の枠組みには指一本触れることができません。異常な従属状態を異常と思わない勢力が、どんな「改革」を唱えようと偽りであり、むなしいだけではありませんか。
日米安保条約の廃棄は、党綱領が示す日本の民主的改革の要中の要の問題です。日米安保条約をなくす国民的多数派の形成は、民主連合政府を樹立する大きな条件をつくることにもなります。
みなさん。切実な要求から出発して、この軍事同盟の異常を一つひとつただすたたかいを発展させながら、「日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか」を広範な国民のものにしていく努力を大いに強めようではありませんか。(拍手)
さまざまな分野で一致点にもとづく共同――「一点共闘」を発展させよう
この間の政治的努力の第二は、さまざまな分野で、政治的立場の違いを超え、一致点にもとづく共同――「一点共闘」を広げ、現実政治を動かすために奮闘してきたことであります。
TPP、原発、消費税――新しい共同のたたかいが政治を動かしている
TPP参加反対の運動が、さらに大きく広がっています。参加する団体・階層が、農林漁業に加えて、消費者団体、医師会、建設業、商工会、経済界、労組、自治体など、ほとんど全階層を網羅する取り組みに広がっています。北海道や、滋賀県などでは、文字通り、道・県をあげての「オール北海道」、「オール滋賀」の取り組みに発展しています。
「原発ゼロ」をめざす運動は、各種団体、文化人、宗教家、経済人、自治体首長など、各界・各層の共同を広げています。日本ペンクラブ、全日本仏教会、中小企業家による「経営者ネットワーク会議」などが、つぎつぎに声をあげています。この間、「脱原発をめざす首長会議」が結成されましたが、わが党も要請に応じて顧問に就任しました。
これまでデモや集会に参加したことのなかった若い世代、子育て世代が運動の主体となって大きな力を発揮していることも、新しい特徴であります。中央段階でも共同の機運が広がり、7月16日に予定している10万人規模の「さようなら原発集会」には、全労連、民医連などが実行委員会にくわわり、幅広い知識人、原水禁系の団体と協力して集会の成功にむけて力をつくしています。
消費税問題では、党の「提言」を使っての懇談会、「集い」に、広範な団体、個人がこたえてくれ、消費税増税反対の共同が新たな広がりをもって発展しつつあります。「消費税増税ストップ! 4・12国民集会」は、主婦連、日本消費者連盟、ジャーナリスト、作家、映画監督、俳優など著名人が、自覚的民主勢力といっしょに呼びかけ人(団体)となり、大きな成功をおさめました。滋賀県では、6月3日に、消費税増税反対の「県民集会」を計画していますが、「呼びかけ発起人」には、県商工団体連合会会長、県保険医協会会長、県生協連会長、県JA中央会会長らが名を連ねています。
障害者自立支援法の廃止を「基本合意」で約束し、裁判を終結させたにもかかわらず、この約束を踏みにじり、「応益負担」をはじめ悪法の根幹を残す法案を、民主・自民・公明が強行しようとしていることに対して、「誇りも期待も裏切られ、骨さえ震える思いだ」など激しい怒りが噴き出し、たたかいが急速に広がっています。
保育への市町村の義務を放棄する「子ども・子育て新システム」に対しても、父母、保育園・幼稚園・学童保育の関係者、労働組合、女性団体、研究者などが参加して、大きな怒りのたたかいがわき起こっています。
たたかいのなかで生まれている注目すべき特徴について
これらのたたかいの広がりのなかで、次のような特徴が生まれていることは重要であります。
一つは、それぞれの課題ごとに、幅広い個人・団体が参加するなかで、「一点共闘」が重なり合って、いわば「重層的共闘」に発展し、日本の政治を変える新しい流れをつくりだし、統一戦線に合流する萌芽が、あちこちで生まれていることであります。全国各地で、TPP参加反対の共同と、消費税増税反対の共同が、重なり合って発展する状況が生まれています。
二つは、たたかいに参加した人々のなかで、問題の根源に「二つの害悪」があるという認識への接近、発展が生まれつつあるということです。最近、大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市で党主催の経済懇談会がおこなわれ、大きな成功をおさめましたが、JAいしのまき組合長は、「TPPは大問題で、民主党は二枚舌だ。日米安保条約に縛られていることが問題だ。軍事費も日米安保のせいだ」とのべました。魚市場の社長は、「これだけ格差が広がっているもとでの消費税大増税は大問題だ。お金本位の社会ではなくて、絆の社会をつくるべきだ。(共産党の主張への)一般の賛同者を増やしてほしい」と語りました。社会のあり方を変える必要があるという訴えであります。
三つは、どの問題でも、国民要求の実現のために誠実に取り組む日本共産党や自覚的民主勢力への新たな信頼と期待が広がっていることであります。たとえば、全国各地で、党とJA農協のみなさんとの信頼関係が深まっています。わが党代表が、JA主催の集会に参加して連帯のあいさつをおこなう一方で、党や革新懇主催のシンポジウムにJAからパネリストとして参加するという相互交流が広がっています。先日私は、日本農業新聞の創刊85周年のレセプションに参加して、900人ほど集まった農協関係者のみなさんとごあいさつする機会がありましたが、「私もとうとう共産党のシンポジウムに参加しました」という声がずいぶんかかりました。先日のJA全中などが主催した国民集会では、「東京と地元で言うことの違う国会議員はいらない」という痛烈な声が出されました。政策的一致とともに、「東京でも地元でも一貫した立場」をとり、誠実に運動の発展に力をつくす日本共産党の政治姿勢への信頼が広がっています。
消費税問題では、わが党の「提言」が草の根の運動のよりどころとなって、大きな力を発揮しています。党支部が「提言」をもって商店街や町内会などをいっせいに訪問する活動がはじまっていますが、東京・江戸川区のある町会長は「班長会で報告します。町会事務所の掲示板に『提言』を張り出します」と言ってくれました。三重県での訪問活動では、県商店街振興組合連合会の理事長が、「地域で共産党が存在感を示す絶好のチャンスだ。今こそ存在感があるのですから、今頑張らないでいつ頑張るのか。応援団がたくさんできますよ」とエールを送ってくれました。TPPでも消費税でも、足を踏み出せば、これまでにない広範な人々と心が通じ、共感が広がる。ここに確信をもって大いに奮闘しようではありませんか。(拍手)
四つは、さまざまな分野での一致点にもとづく国民運動の広がりが、悪政を推進する勢力への大きな圧力となり、そのなかに矛盾や亀裂をつくり、悪政をやすやすとは強行できない状況をつくっているということです。巨大メディアがこぞって、消費税増税、TPP推進、原発再稼働などの旗を振り続けても、国民世論では「反対」の声が広がっています。その声が、悪政推進勢力の中にも矛盾や亀裂をつくりだす。これが今起こっていることであります。それぞれのたたかいの帰すうは予断をもっていえませんが、国会のたたかいと一体に、悪政推進勢力を国民運動の力で孤立させ、包囲することにこそ、勝利の展望があることを強調したいと思います。
各分野での国民運動の高揚は、「二つの害悪」に縛られた政治の深い行き詰まりを反映したものであります。そして、どの問題でも、日本共産党国会議員団の国会での論戦と奮闘が、情勢を前向きに動かし、要求実現の後押しをしているということを、強調したいと思います。
みなさん。切実な要求から出発し、一致点を大切にして、それぞれのたたかいを発展させるために力をつくそうではありませんか。そのなかで、日本共産党の日本改革のビジョンを大いに語り、問題の抜本的解決の展望を大いに語り抜こうではありませんか。(拍手)
閉塞状況につけこんだ反動的逆流と正面からたたかう
この間の政治的努力の第三は、閉塞状況につけこんだ反動的逆流と正面からたたかってきたことであります。とりわけ、橋下・「大阪維新の会」の策動とのたたかいに、私たちは、本格的に取り組んできました。
ここでは、このたたかいをすすめる政治的な観点について3点ほどのべたいと思います。
閉塞打開の展望を示すことと一体に、その危険性を明らかにする
一つは、こうした流れが生まれてくる根源には、政治と社会の現実に対する深い閉塞感があるということです。さらに、「構造改革」のもとで拡大してきた雇用破壊、貧困の深刻化という問題があります。こうした現実と、「既成政党はみな悪い」とする巨大メディアによる「大阪維新の会」の無批判な持ち上げによって、「何か大きく変えてくれそう」という漠然とした期待が集まっているのであります。
それだけに、この潮流に期待を寄せている人々の心情にかみ合って、閉塞状況を本当に打開する展望はどこにあるかを明らかにする努力をおこない、それと一体にこの潮流の危険性を明らかにしていくことが大切であります。
また、橋下・「維新の会」の手法は、公務員や教員などを「既得権の持ち主」として攻撃し、それとたたかう「ヒーロー」として自己を売りだす、国民分断の卑劣な手口を特徴としています。それだけに、要求にもとづく国民運動を起こし、そのなかで広く温かい社会的連帯をつくりだしていくことが、この流れを打ち破るうえで重要であります。
橋下・「大阪維新の会」の二つの反動的・反国民的特徴
二つ目に、橋下・「維新の会」の政治的な特徴としては、大きくいってつぎの二つの反動的、反国民的特徴があります。それを事実にそくして明らかにしていくことが重要です。
一つは、古い政治をより強権的な手法ですすめるということです。「維新の会」は、国政進出を狙って「維新八策」(レジュメ)なる文書を発表しました。その中身は、小泉「構造改革」をより極端にした弱肉強食の新自由主義の経済政策であり、憲法改悪を志向しながら、日米同盟強化とTPP参加を推進するという、アメリカいいなり政治であります。そこには、新しいものは何もありません。手あかのついた古い政治を八つ並べただけです。原発問題で、橋下氏は、再稼働に反対する発言もしましたが、結局は、「節電がいやなら再稼働するしかない」と言い出しています。そこには、「グレート・リセット」などと大仰なことをいっても、「アメリカいいなり」「財界中心」という「二つの害悪」には指一本触れられない姿があるではありませんか。(拍手)
いま一つ、この潮流は、たんに古い政治というだけではありません。民主主義を窒息させる恐怖政治と独裁政治、ファシズムにつながる“異質の危険”をもった潮流であります。橋下市長は、大阪市職員全員を対象に、違憲・違法の「思想調査」を強行しました。この暴挙は、強い批判のなかで、中断に追い込まれましたが、橋下氏は、反省も謝罪もせずに居直りを続けています。府立高校の卒業式の「君が代」斉唱のさいの「口元チェック」事件も、大きな問題となりました。府と市で推進している「教育基本条例」「職員基本条例」は、政治が教育に乱暴に介入し、異常な競争を子どもたちに強制し、職員・教員を同一職務命令違反3回で免職対象とするというものであります。それは、職員・教員の人格を丸ごと支配下におき、「国民全体の奉仕者」であるべき公務員を、橋下氏の「下僕」に変えようというものにほかなりません。民主主義社会でこのようなことは断じて許されてはなりません(拍手)。橋下・「大阪維新の会」は、「維新八策」のなかで、この仕組みを全国に広げると公言しています。
人間の思想、価値観、内面に、政治権力は立ち入ってはならない――これは近代民主主義の大原則であり、日本国憲法で保障されている基本的人権の根幹であります。教育は、「人間の内面的価値に関する文化的営み」であって、「教育内容に対する国家的(権力的)介入はできるだけ抑制的でなければならない」――このことが憲法の要請であることは、最高裁判決でも明記されたことであります。それを土足で踏みにじって恥じることのない人物に、教育も、地方自治も、国政も語る資格はありません。日本共産党は、日本国憲法で保障された人権と民主主義を守るために、広く国民が大同団結をすることを心から呼びかけるものであります。(拍手)
人権と民主主義を守るよりどころとして奮闘しよう
三つ目に強調したいのは、この動きを恐れず、正面から立ち向かっている政党は、中央段階では日本共産党だけであるということです。民主党も、自民党も、公明党も、みんなの党も、票欲しさ、自己保身のために、情けないすり寄りの姿勢を示していますが、そういう姿勢をつづければ、自殺行為ともなることを、きびしく警告しておきたいと思います。
良識ある広範な人々が勇気ある声をあげ、民主主義を守るたたかいが広がっています。学者・文化人10氏のよびかけで、シンポジウムや、府民集会が取り組まれています。作家の赤川次郎氏は、ある新聞の投書欄に「橋下氏、価値観押しつけるな」としたつぎのような痛烈な批判を投稿しました。
「大阪の橋下徹市長は大阪府立和泉高校の管理職をなぜ処分しないのだろう? 教師の口元チェックをしながら、姿勢正しく心をこめて『君が代』を歌えたはずがないのだから。
それにしても生徒のためのものであるはずの卒業式で、管理職が教師の口元を監視する。何と醜悪な光景だろう! 橋下氏は独裁も必要と言っているそうだが、なるほど『密告の奨励』は独裁政治につきものである。
府知事時代、橋下氏は初めて文楽を見て、こんなもの二度と見ないと言い放ち、補助金を削減した。曰(いわ)く『落語は補助金なしでやっている』。舞台に座布団一枚あればいい落語と、装置を組み、大勢の熟練の技を必要とする文楽を一緒くたにする非常識。客の数だけを比べるのはベートーヴェンとAKBを同列にするのと同じだ。
文楽は大阪が世界に誇る日本の文化である。理解力不足を棚に上げ、自分の価値観を押し付けるのは、『力強い指導力』などとは全く別物である」。(拍手)
心ある人々の勇気ある批判が広がっています。日本共産党が、この反動的逆流に断固として正面から立ち向かい、人権と民主主義を守るよりどころとして奮闘することは、わが党の本来の任務であります。そして、このたたかいを通じて、「日本共産党こそ人権と民主主義を守り抜く、もっとも頼りになる党だ」という信頼と評価をしてくださる人々が広がることは、私は、間違いないと思います。ここに確信をもって奮闘しようではありませんか。(拍手)
この党の値打ちに確信をもって、党を語り、支持を広げよう
4中総決定後、全党が取り組んできた三つの政治的探求と努力――閉塞状況を打開する展望を示す、国民の要求にもとづく共同を発展させる、反動的逆流とたたかい民主主義を守り抜く――は、閉塞感と政治不信をもちながら、その打開を真剣に求める国民の気持ちにかみあい、日本共産党の値打ちを際立たせています。
三つの仕事のどれをとっても、日本共産党にしかやれない仕事であります。ここで党が頑張らなくていつ頑張るのかという情勢が展開しています。
みなさん。ここに確信をもって、広い国民の思いにこたえた活動に取り組み、そのなかで大いに党を語り、支持を広げようではありませんか。(拍手)
二、総選挙勝利、「大運動」の目標総達成へ、「特別期間」をよびかける
つぎに、4中総決定にもとづく総選挙勝利にむけた取り組みと「党勢拡大大運動」の到達点、それをふまえた今後の活動方向について報告します。
総選挙勝利をめざす新しい方針の実践について
「すべての小選挙区で候補者擁立をめざす」――到達点について
まず総選挙勝利をめざす新しい方針の実践についてのべます。
4中総決定は、来るべき総選挙を、「日本共産党が本格的な反転攻勢に転じ、21世紀の早い時期に民主連合政府を樹立するという目標にむけて、新たな本格的スタートを切る選挙」、「『成長・発展目標』に接近、実現する第一歩の選挙」と位置づけ、「比例を軸に」を貫き、650万以上の得票、10%以上の得票率を獲得し、すべての比例ブロックで議席獲得・議席増をめざすことを決定しました。
また、衆議院選挙と参議院選挙を一体にたたかい、相乗的に党躍進の波をつくりだしていくことを提起しました。
4中総決定では、総選挙にむけて、「すべての小選挙区で候補者擁立をめざす」ことを決定しました。これは、来るべき総選挙が、「政権交代」後の新しい情勢のもとで、国民が、「自民か、民主か」という枠組みを超えて新しい選択肢を探求する動きが大きく広がるもとでの選挙となることを踏まえた方針でした。
4中総決定にこたえて、今日までに、承認・内定した小選挙区予定候補者は232人となりました。さらに多くの選挙区で擁立のための努力が続いています。この到達は、わが党が革命政党としての大きな潜在的力をもっていることをあらためて確信させるものであります。
革命的気概あふれるドラマが各地で生まれている
候補者擁立のなかで、革命的気概あふれるドラマが各地に生まれ、決意した候補者の奮闘が、「よく立候補してくれた」と党内外から歓迎され、新しい活力がわきおこっています。どこにもドラマがありますが、何人かの同志を紹介したいと思います。
多くの20代、30代の若い候補者が、はつらつとした活動を開始しています。東京都第23区の松村亮佑(りょうすけ)候補(31歳)は、次のように語っています。「児童養護施設で働きながら、大学を卒業しました。児童施設の子どもたちは、お父さんがリストラされたり、母子家庭のお母さんが泣く泣くおいていったり、社会のゆがみが子どもたちを不幸におとしいれていることを痛感しました。党の専従になって大震災がおきました。子どもたちの命、未来より、大企業の利益を優先する政治のあり方が許せませんでした。こういう政治を変えるために、自分にできることは何でもやろうと思い、決意しました。子育て中という条件を生かし、『まちだ子育てネットワーク』を立ち上げ、放射能、食の安全、保育『新システム』などの問題に取り組み、お父さんたちとは『パパのみ』(飲み会)を開き、お母さんたちとは『ママカフェ』を開いて語り合い、今年の3・11の町田集会には子育て世代がたくさん来ました」。若い候補者のはつらつとした活動が目に浮かぶようです。
長年党活動の中心を担い、鍛えられてきたベテランの候補者の決意と奮闘も、党内外を励ましています。群馬県第4区の萩原貞夫候補(63歳)は、群馬の大演説会でデビュー。決意表明の冒頭、「私は、昨日こんな夢を見た。総選挙の翌日の上毛新聞。そこには“福田元首相まさかの敗北、当選は共産党の萩原貞夫”と書いてあった」(笑い)と話し、爆笑に包まれたそうです(笑い)。萩原さんは、県の教職員組合執行委員長を6期つとめた労働運動の重鎮です。もともと美術の先生で、退職後は、全教の機関紙に月1回4こま漫画を連載し、自分のやりたいことをやろうと考えていた。そこに、党機関から候補者要請。「まさか」と思ったが、「来るべき総選挙を、民主連合政府樹立に向けたスタートにしよう」という4中総決定のよびかけが、「自分の気持ちにピッタリと思った」。「今63歳、今回の次の選挙に出ろといわれても、年齢的に無理。たった1回のめぐり合わせかと考え、決意した」とのことでありました(拍手)。ただし、まわりの同志たちは「2回はできる若々しさ」といっているとのことであります。(笑い、拍手)
地方議員を経験した同志が、新たな前進の先頭に立とうと立候補を決意して大奮闘している経験が各地に生まれています。千葉県第6区の三輪由美候補(56歳、前県議)は、次のように語っています。「負けて悔しくて申し訳ないという思いで昨年は体調も悪くしました。しかし6月に参加した石巻市のボランティア活動で被災地での党への期待や感謝にふれ、『落ち込み』がスーッと消えました。日本共産党員としての原点に立ち返り、党創立記念講演のDVDに涙し、被災地での県議選倍増に励まされました。たたかいが私を変えました。放射線量測定会で初めて出会った若い世代と子どもたち、町会関係者、医師会などとの出会いが私を変えました。激動する情勢が日本共産党を求めていることを知った時、日本共産党と自分の価値に目覚めました。選挙で負けない共産党になって、希望ある未来を切り開くしかないと決意しました」。(拍手)
私は、勇気をもって立候補を決意されたすべての候補者のみなさんと、努力された党機関のみなさんに、心からの感謝と敬意を表明するとともに、ともに力を合わせて、「大運動」の成功と総選挙勝利にむけて奮闘する決意を固めあいたいと思います。(拍手)
中央と地方が力をあわせて困難を打開し、活動の発展を
「比例を軸に」を貫きつつ、すべての小選挙区で候補者を擁立し、勝利をめざして奮闘することは、現在の党の力からすれば、さまざまな困難もあると思います。中央と地方が力をあわせて一つひとつ打開しながら、活動の発展をはかりたいと思います。
最大の悩みの一つは、お金の問題だと思います。この点でささやかですが朗報を一つ報告いたします。すべての小選挙区での候補者擁立と活動を支えようとの全党的努力の強まりによって、供託金基金の取り組みが徐々に強められています。その結果、300万円の供託金の中央と県・地区の負担割合を、5対5から6対4に改善できるようになりました(拍手)。すなわち中央が180万円、県・地区が120万円に改善することにいたします。これを新たなステップに、供託金支援基金への党員の拠出をさらに強めるとともに、各県・地区の供託金募金を広く訴えることをよびかけるものです。
同時に、多くの県・地区では、小選挙区候補者の生活と活動を支えるための独自の財政を確保することが不可欠となっています。「比例を軸」にした宣伝計画などとあわせて、選挙区ごとに財政計画を明確にして、それを支える選挙募金を強化することを心から訴えるものであります。
「党勢拡大大運動」の到達点をどうみるか
「大運動」の到達点、「実態のない党員」の正しい解決について
「党勢拡大大運動」の到達点について報告いたします。
「大運動」の到達点は、党員拡大では、入党承認で約7700人、新入党員を迎えた支部は23・7%です。目標の5万人に対して達成率は15%であります。党員拡大のテンポは、「大運動」前の拡大のテンポの1・5倍になっています。全国活動者会議として、新しく入党された同志のみなさんに、心からの歓迎の気持ちを送りたいと思います。(拍手)
「しんぶん赤旗」読者拡大は、増やした月も、減らした月もありますが、「大運動」をつうじて、全党的には日刊紙読者3500人、日曜版読者1万4千人が後退した到達にあります。そのなかでも、4月は、全党の奮闘で、「大運動」をつうじて、初めて日刊紙、日曜版とも前進をかちとることができました。また、日刊紙の値上げのもとで、大きく後退させず、読者数をほぼ維持しているのは、全党のみなさんの努力の重要な結果であります。さらに、前回総選挙時を日刊紙読者は1県8地区、日曜版読者は4地区が突破していることは、貴重な先進的経験であります。
2中総決定が提起した「実態のない党員」の正しい解決の取り組みは、2中総後、全党的に9万人を超える離党措置がとられ、党員現勢は、5月1日現在、31万8千人となりました。この取り組みの結果、全党的には、「実態のない党員」の問題は、基本的に解決したということがいえます。
「実態のない党員」の問題を解決したことをつうじて、「革命政党らしい党づくり」への新たな意欲と活力が生まれています。決定の徹底でも、党費納入でも、文字通り「100%の党づくり」をすすめようという機運が広がっていることはきわめて重要であります。
同時に、「実態のない党員」を生み出してきた痛苦の教訓をほりさげ、党活動の弱点に真剣なメスを入れ、「一人ひとりの党員を大切にする」党への成長をめざし、指導と活動の改善のための努力がはかられています。この努力を大いに強めたいと思います。
この問題を解決したことによって、今後、党員拡大は、党員の現勢でも本格的な前進に向かう条件がつくられました。党員の現勢でも毎月、大きな前進をかちとり、文字通りすべての党員が条件におうじて活動に参加する、「革命政党らしい党づくり」をめざして力をつくそうではありませんか。
到達点を二つの角度からとらえる
「党勢拡大大運動」の到達点をどう見るか。この会議にむけて、全国の都道府県委員長のみなさんから「特別報告」を提出してもらいました。
この10カ月の取り組みをつうじて、多くの党組織が、党活動の法則的発展方向をつかみつつあることは、きわめて重要です。神奈川県からは、「『大運動』の10カ月は、全県党組織が取り組み学んだ党建設学校のようなものである。多数者革命をやりとげる党づくりの本来の水準に発展させる重要な出発点に立った」という報告が寄せられました。東京都からは、「『大運動』の提起があったからこそ、党員拡大でも、読者拡大でも一定の陣地をつくり、維持してきた。党員拡大で毎月全地区成果を一貫して追求してきたことが、どの局面でも党員拡大を握って離さない構えを維持する力になってきた」との報告が寄せられました。奈良県からは、「この10カ月のたたかいは、『大運動』はやりぬける、そのことをはっきりさせたと思います」との報告が寄せられました。
とくに、政治の現状に閉塞感を深めつつ打開を求めて模索する国民の気持ちにこたえた活動をおこなうことの重要性、綱領と決定で党をつくること、支部会議を軸に「支部が主役」の活動をつくることにこそ、党活動発展の法則的大道があることを、多くの党組織がつかみつつあることはたいへん重要であります。
同時に、いま紹介した都県の報告も含めて、多くの都道府県委員長の報告でも述べられているように、これまでの水準の運動に甘んじていては、総選挙に勝つ保障を築くことはできないことは明瞭です。私たちの活動をはかる基準は、あくまでも自ら決めた目標におかなければなりません。それにてらすならば、全党的には、党員拡大は15%の達成率、読者拡大では、出発点を維持できず、後退しているという現状にあります。その最大の問題点は、全支部、全党員の運動にしきれていないというところにあります。これまでの延長線上の取り組みでは、「大運動」の成功はないし、総選挙勝利の保障を築くこともできません。この10カ月間でつかんだ前進への手応えを大いに確信にしながら、到達点をリアルに直視する必要があります。
総選挙勝利をめざし、「『大運動』目標総達成の特別期間」をよびかける
そこで、幹部会として、今日から7月31日までを、総選挙勝利をめざす、「『大運動』目標総達成の特別期間」として、全党の集中的取り組みをおこなうことをよびかけるものです。「特別期間」の位置づけと、取り組みの構えについて、五つの点を強調したいと思います。
党勢拡大に思い切って力を集中し、目標を総達成する
第一に、その最大の眼目は、党勢拡大に思い切って力を集中し、党員でも、読者でも、自ら決めた目標を総達成することであります。
4中総決定では、「『党勢拡大大運動』をつうじて、『5万人の党員、5万人の日刊紙読者、17万人の日曜版読者を、全党が力をあわせて増やし、党勢拡大の高揚をつくりだし、総選挙勝利の土台となる自力をつけよう』」と決意を固めあいました。
「大運動」の現在までの到達点にてらせば、あと4万3千人の党員、5万3千人の日刊紙読者、18万4千人の日曜版読者を増やす――これが全党的目標となります。これを達成するためには、党勢拡大に思い切って力を集中する特別の取り組みが必要であります。
そのさい、党員拡大にあたっては、4中総決定が強調したように、「量とともに質を」の立場で、「“日本共産党らしい党づくり”への特別の努力」をはらい、入党した同志の成長に責任をもつことが大切です。
また、読者拡大にあたっては、3月23日付の機関紙活動局の訴えを生かして、「支部が主役」で配達・集金体制を強化することを、一体的にすすめることに、特別の意識性をもって取り組むことを訴えたいと思います。
目標を決めた原点――やりきらなければ総選挙での勝利の保障はない
第二に、この目標は、「やれるか、やれないか」ではなく、やりきらなければ総選挙の勝利の保障はないという目標であることを、あらためて銘記したいと思います。
そもそも私たちは「大運動」の目標をどういう考え方で決めたか。それを、いまあらためてつかみ直すことを訴えたい。
党員拡大の5万人という目標は、2中総決定での「党の自力の問題にこそ、(2010年)参議院選挙の結果からくみ出すべき最大の教訓があります」という痛苦の総括を踏まえ、3中総決定での「党員拡大の遅れは、党のあらゆる活動を発展させるうえでの最大の障害となっており、この弱点を打開することは、党のあらゆる分野での活動の発展を支える最大の保障となる」という現状認識を踏まえて、決めたものでした。
読者拡大の目標は、2中総決定での、前回参議院選挙時比で日刊紙・日曜版とも後退してたたかったことが、「参議院選挙での後退の重大な原因となった」との痛苦の総括を踏まえ、4中総決定での「党員拡大目標に匹敵する、あるいはそれを上回る『日刊紙』読者拡大目標を決め」、「日刊紙も、日曜版も、前回総選挙時の陣地を上回る到達点を、『大運動』期間中に必ず築く」という見地から、決めたものでした。
前回の参議院選挙の教訓にてらしても、党の現状にてらしても、この目標をやりぬくことなくして、総選挙での勝利の保障はありません。私たちが「大運動」の目標を決めた原点にあらためてたちかえり、目標達成の意義を握り直そうではありませんか。
この間の中間地方選挙の結果と教訓にてらして
第三に、“党勢拡大の前進なくして総選挙勝利の保障なし”は、「大運動」期間中の中間地方選挙の結果にも示されているということであります。
この間の地方選挙の結果を、率直にお伝えしたいと思います。昨年7月の3中総後の中間地方選挙での日本共産党の結果は、3県、1政令市、99市、132町村に435人が立候補し、当選は382人です。議席増は16、議席減は59、差し引き43議席の後退となっています。得票数は前回比88%に後退、議席占有率も、8・25%から7・93%に後退しました。東日本大震災の被災地での県議選の躍進など貴重な成果もありますが、全体としては議席と得票を後退させていることを直視しなければなりません。
その原因として、選挙区ごとの独自の政策・戦術問題での弱点もありますが、共通している最大の要因、根本の原因は、自力の不足という問題が解決されず、党勢の後退のまま選挙をたたかったことにあります。県、政令市、一般市の平均で、わが党は、前回選挙時比で、日刊紙91%、日曜版89%で選挙をたたかっています。
この中間地方選挙の教訓にてらしても、「大運動」の目標をやりぬくことなくして、総選挙の勝利の保障はないとお互いに肝に銘じなければなりません。
みなさん。いまが、わが党にとっての重大な正念場であります。わが党にとって、「風頼み」の勝利は絶対にありえません。自ら風を起こして勝つ以外には道はありません。自ら風を起こす力をつける必要があります。ここで知恵と力をつくし、どんな苦労をしてでも「大運動」の目標をやりきってこそ、勝利への道は開かれます。
前回参議院選挙の痛苦の教訓にてらしても、中間地方選挙の教訓にてらしても、「大運動」の目標は、「やれるだけやる」ではなく、文字通り総達成する――ここでお互いに腹を固めあうことに、この全国活動者会議で意思統一すべき最大の要があることを訴えたいと思うのであります。(拍手)
目標をやりきる決意が固まってこそ、知恵と力がでてくる
第四は、総選挙で勝利をかちとる確固とした決意が固まり、目標をやりきる決意が固まってこそ、それをやりきる知恵も力も出てくるということです。
「大運動」の全党的な到達点は、大きな遅れがありますが、そのなかでもすすんだ取り組みをおこなっている党組織の教訓は、例外なく、総選挙勝利と、「大運動」の目標達成が、正面にすわっていることにあります。
長野県では、党員拡大では、21%の支部で168人(目標比で16・8%)の拡大ですが、「しんぶん赤旗」読者拡大では、「大運動」通算で、日刊紙読者で173人の前進(目標比で17・3%)、日曜版読者で494人の前進(目標比で10・2%)となっています。日刊紙は昨年5月以降、毎月、前進を続けています。1年近くにわたる持続的な前進の原動力となっているものは何か。議席空白となっている北陸信越ブロックの中心県として、なんとしても議席を獲得する、そのためには「大運動」の目標をなんとしてもやりぬかねば、という執念を燃やした党機関の構えが、支部や党員の心に灯をともし奮いたたせています。今井県委員長は、「総選挙勝利、北陸信越ブロックの10年の議席空白は、1952年に林百郎さんの議席を失って奪還するまでの10年余に匹敵するもので、なんとしても克服したい。私自身の悲願であり、党員みんなが持っている思いです。この思いを全党のものにするために全力をあげてきました。県民、国民への責任だからです」と語っています。この熱い決意が、県党組織に伝わり、目標に挑戦する決意が固まったところから、党活動を生き生きと発展させる新たな積極的探求と努力がはかられ、前進をつくりだす力となっています。
全支部、全党員の運動にしていくために、特別の臨戦態勢を
第五に、「特別期間」で、「大運動」の目標を総達成するためには、特別の臨戦態勢をすみやかにとることが必要であります。
特別の臨戦態勢とは何か。「大運動」を全支部、全党員の運動にしていくために、ありとあらゆる知恵と力を総結集する態勢をとることであります。
残った目標は、大きいように見えますが、全支部、全党員の運動にすれば、達成は可能です。党員拡大では、現在まで23・7%の支部が成果をあげ約7700人の拡大という到達ですが、この流れを全国2万を超える全支部に広げれば、5万人の達成は可能です。「しんぶん赤旗」でも、1支部あたりでみれば、日刊紙読者で2〜3人、日曜版読者で9〜10人の純増で目標達成は可能となります。党員数で考えますと、5人の党員で1人の日刊紙読者、2人の党員で1人の日曜版読者を増やせば目標を達成できます。わが党は、その持てる力をすべて発揮すれば、目標を達成し、総選挙で勝利をかちとる力を持っている。そのすべてを引き出す取り組みに挑戦しようではありませんか。
それをやりきるには、7月31日を投票日に見立てて、1回の国政選挙をやりぬくような集中した構えと態勢が必要です。条件におうじてたまり場や炊き出しなどをおこなうことも大切であります。さらに、日々の活動の到達をつかみ、日々前進のための手だてをとっていくことが、党機関に求められます。そのために、「特別期間」に限って、党員拡大、読者拡大、全国活動者会議の報告の討議支部の3項目にしぼって、「日報」を実施することにしたいと思います。そのさい、「日報」の実施によって、党の指導が日報項目だけの狭い指導、「数追い」の指導になってはならないことを肝に銘じて取り組みたいと思います。支部は広範な国民の中に足を踏み出し、党機関は支部に入りその実態を丸ごとつかんで援助する――党活動のこの基本を絶対にゆるがせにしないようにしたいと思います。
「こんどこそ勝ちたい」――そう思わない党員はいないと思います。だれもが心から党の前進を願っています。
みなさん。すべての支部と党員に、情勢を切り開く党の値打ちを語り、選挙に勝つことが国民への責任だとつたえ、そのためには、いま「大運動」の目標をやりきることがどうしても必要だということを訴え、革命政党の一員としての気概をよびおこす指導と援助を全党のすみずみにまでおこなって、「特別期間」を必ず成功させ、総選挙勝利への道を自らの力で切り開こうではありませんか。(拍手)
三、どうやって「特別期間」を成功させるか――全国の経験に学んで
三つの政治的探求と努力をさらに広げ、党勢拡大に結実させよう
どうやって「特別期間」を成功させるか。
冒頭にも報告したように、私たちは、国民のなかに閉塞感と政治不信が広がり、現在の政治を「よしとしない気分」と閉塞打開の道を探求する真剣な気持ちがかつてなく広がっていることにこたえて、閉塞状況を打開する展望を示す、国民の要求にもとづく共同を発展させる、反動的逆流とたたかい民主主義を守り抜く――という三つの政治的探求と努力をおこなってきました。この取り組みのなかで、これまでにない広範な人々との新しい結びつきが広がり、信頼関係が広がっています。
「特別期間」に立ち向かう私たちの基本姿勢としては、三つの政治的探求と努力によって広がった新しい結びつき、新しい信頼関係を、さらに広げながら、党勢拡大の独自の努力をはかるという見地が何よりも大切であります。
とくに、その要となるのが、すべての支部の段階にまで、三つの政治的探求と努力を具体化し、さらに、それぞれの支部のまわりの国民の身近な願いや声にこたえて、新しい結びつきを広げに広げ、それを党勢拡大に実らせることであります。
そのさい、それぞれの地域で、ポスターの張り出し、ハンドマイクなどを使っての声の宣伝を重視し、広い有権者に日本共産党の元気と勢いが伝わる活動に取り組むことも、強調しておきたいと思います。
中央も、都道府県も、地区も、そしてすべての支部が、いまの情勢、国民の気持ちにこたえた活動をおこない、これまでの結びつきを生かし、新たな結びつきを思い切って広げる活動を展開しながら、党をつくる――「特別期間」では、そういう基本姿勢に立って、「大運動」の総仕上げをおこなおうではありませんか。
こういう見地に立って、「大運動」ですぐれた成果をあげている経験は、すでに全国に無数に生まれています。報告では、中央としてそれらに学び、全国のすぐれた経験を紹介しながら、大切だと考えるいくつかの点についてのべます。討論で豊かに深めていただくことを、お願いしたいと思います。
「支部が主役」で要求活動と党勢拡大を「車の両輪」として取り組もう
第一は、「支部が主役」で要求活動と党勢拡大を「車の両輪」として取り組むことであります。
「要求活動」という場合に、消費税問題、原発問題、TPP問題、基地問題、安保問題など、直面する国政の大問題での要求にこたえた活動を、支部が大いに取り組むことはもちろん大切ですが、それだけでなく、地域・職場・学園の身近な要求を生き生きとつかみ、その実現のために努力し、信頼を高めるなかで党勢拡大をすすめることが大切です。
また、「要求」という場合に、いまの情勢のもとで、多くの国民は、はっきりとした「要求」とまではいっていなくとも、現状に対するさまざまな「不満」「懸念」「心配」「不安」をたくさんもっています。それらを受け止め、耳を傾け、「聞く力」が大切であり、それにこたえる活動をおこなうという見地が大切であります。
たとえば、千葉県の市原市の党組織では、大震災のさいにコスモ石油の爆発が発生し、多くの住民から「大変なことになった」と心配の声が寄せられたことにこたえて、4月に、コンビナート災害をテーマに、市委員会と党支部が一体になってシンポジウムを開催しました。実態調査をふまえた「提言」をつくって県庁、市役所にパネリストを要請しましたら、予想以上に反響が広がっていきました。当日は、市原市長のあいさつ、県の環境研究所研究員、市の危機管理監、消防局課長、党市議の4人がパネリストとなり、市の幹部職員、他の会派の議員、企業幹部、町会役員多数が参加する「異色」のシンポジウムになりました。300人以上の町会長に支部が直接案内し、案内状を回覧してくれた町会も生まれました。地元の「千葉日報」が写真入りで詳しく報道しました。シンポをつうじて、党への信頼がまし、市役所内でも評判になり、党への見方が変わってきています。党支部は、この取り組みで自らの存在意義への自覚を高め、党勢拡大で大奮闘し、市原市では読者拡大で日刊紙、日曜版とも5カ月連続増勢をかちとり、「大運動」通算で前進し、党員を12人迎えたとの報告であります。
「集い」を活動推進の軸と位置づけ、気軽に、豊かに発展させよう
第二は、「集い」と大中小の「演説会」を、選挙勝利と「大運動」を推進するあらゆる活動の「軸」に位置づけ、豊かに発展させるということです。
そのさい「集い」を、少人数での気軽な形でどんどん開く、内容も難しく考えないで気軽に取り組むことが、何よりも大切です。支部でも、日本の政治の「二つの害悪」をただすわが党の大改革を、おおまかでも語れる支部もあれば、まだそこまでいっていない支部もあります。ですから、現在の政治にたいする不満や意見を率直に聞き、支部なりに答えられる範囲で答えるという「集い」でもいいし、「提言」ダイジェストパンフを説明し、意見を出してもらうというやり方でもいい。すべての支部が参加する運動にするためには、敷居を低くし、活動の足を軽くする自由闊達(かったつ)な取り組みが大切であります。
北海道十勝地区委員会は、「大運動」期間中、党員拡大で毎月、10人の月目標を達成し、党員成果支部は68%になり、迎えた新入党員は120人、全国第1位の拡大数となり、目標をやりとげて、全活に参加しています(拍手)。「しんぶん赤旗」の読者拡大でも、日刊紙と日曜版で前進しています。さまざまな教訓がありますが、73%の支部が「集い」を開き、そこで政策だけでなく、党をまるごと知ってもらっていることが、大きな力となっています。「集い」は、5人、10人くらいの少人数が中心で、「提言ダイジェストパンフ」や「メディアパンフ」などを使って、気軽にどんどん開いています。北海道新聞も注目し、「共産十勝 入党最多107人 反TPP政策が影響か」、「同地区では5〜30人単位のミニ集会を昨年7月から150回開き、農業関係者の参加が目立つという」と書きました。
全党的には、現在、「集い」の開催は、取り組み支部39・1%、開催数1万5170回、参加人数25万7847人となっています。演説会・シンポ・懇談会の参加者は12万6千人をこえました。目標の100万人にむけ、すべての支部が気軽に「集い」に取り組み、小選挙区ごとの演説会を大きく成功させ、この取り組みと一体に、「特別期間」の成功をかちとろうではありませんか。
「大運動」の中心課題である党員拡大を「根幹」に位置づけよう
第三は、「大運動」の中心課題である党員拡大を、党勢拡大の「根幹」に位置づけて、党員拡大の前進をつくりだしているところで、党の活動の全体が新しい生命力を得て、発展しているということであります。
東日本大震災で最大の犠牲者を出した石巻市を中心とする宮城県東部地区委員会は、昨年11月の県議選―定数5の石巻・女川選挙区で、地区委員長の三浦一敏さんが初当選をかちとりました。それを契機にして、「総選挙勝利、次期県議選再選、被災住民の要求に応えられる党に」を合言葉に、「大運動」の党員拡大目標を当初の50人から100人に引き上げました。現在までに103人を拡大し、目標を達成して全活に参加したとの報告であります(拍手)。さらに200人に挑戦しようと、奮闘をつづけているということです。新しい党員を迎えるなかで、仮設住宅に五つの支部が誕生しています。党員拡大を契機に、あらゆる面で党活動、党組織が活性化し、住民からみて頼もしい存在となり、総選挙勝利へむけた新たな勢いが生まれています。被災地復興のためにも、選挙に勝つためにも、党員が少なすぎる、党員拡大こそが最大の力だと思いをさだめて取り組んだということです。
地元の牡鹿(おしか)新聞は「渡波(わたのは)第一団地に共産党支部発足」と報じました。石巻日日(ひび)新聞は、「共産党東部地区委員会 仮設住宅改善 防災など要望 署名簿添え石巻市へ」との見出しで、東部地区委員会の活動を報じています。三浦地区委員長は、先日の東京の党演説会に参加し、「全国からのボランティア支援にこたえ、復興のためにも党をつくらねばと頑張った」と語りました。被災地でのこの奮闘に、全党がこたえようではありませんか。(拍手)
4中総決定では、党員拡大運動と一体に、「しんぶん赤旗」日刊紙の購読を訴えることを、特別の意識性を持って取り組むことをよびかけました。また、すべての党員が日刊紙を購読することを、党の質的強化の要の一つに位置づけました。16万部をこえて普及がすすんでいる「メディアパンフ」なども大規模に活用し、党員拡大と一体に、また党の質的建設の要の一つとして、日刊紙の購読を広げることを訴えるものであります。
綱領・中央決定の読了・徹底、支部会議開催の努力を一貫して強めよう
第四に、2月度に集中的に4中総決定の読了・徹底に力を入れたこと、3月度に集中的に支部会議開催に力を入れたことが、前進への展望を開いていることは、多くの都道府県から共通して報告されていることであります。
奈良地区委員会は、4中総決定の読了・徹底で51・4%、討議支部は100%、3月には、100%の支部が支部会議を開催しました。それを力に、「大運動」通算で、党員拡大64人、読者拡大では日刊紙68人、日曜版50人の増勢をかちとっています。地区委員長は、「私自身が確信にしている点は、全支部で支部会議開催をやりぬいたことです。通常は、毎月4分の1ぐらいの支部が会議を開けていない。それを100%やりきったことは地区全体の大きな確信になっています。支部会議を全支部でやりぬくことは支部の責任ではなく地区委員長と機関の責任であることを痛感しています」との報告を寄せています。
1年余にわたって続けてきた「綱領・古典の連続教室」が大きな知的・理論的活力をよびおこしています。三重県南部地区では、「過半数の党員が受講すれば地区は変わる」と、半数近い支部で「支部教室」を開き、3割を超える党員が受講し、4中総決定の読了・徹底は62・3%となりました。これが力を発揮し、「大運動」の通算で党員18人、日刊紙で現勢を維持し、日曜版は41人の読者増となっています。「連続教室」の「講義要旨」と「レジメ・資料・テキスト」、「DVDセット」も大いに活用して、すべての支部に「教室」を広げていくことを心から訴えたいと思います。
職場支部――前進の芽をよくつかみ大きく育てよう
第五は、職場支部での前進が開始されていることです。
4中総決定は、労働者の中で、「人間的連帯」を求める意識、「いい仕事がしたい」という要求が高まっており、そのもとで、職場の日本共産党員への信頼と共感が新たに広がっていることを強調しました。この間の経験は、こうした見地の大切さを証明しています。
教職員分野では、「大運動」での1カ月平均の党員拡大数が、「大運動」前と比較して2・8倍に前進しています。前進しているある県が先月おこなった教職員党員の交流会で、この間入党した9人の青年たちが入党の経過と思いを語ってくれました。ある青年教師は、「世の中のことをあまり知らなかった私でしたが、この間、2人の先生が職場をすごく温かくしてくれていた。『こういう先生になりたい』『すてきやな』という先生が共産党の方やった。その先生に声をかけてもらったので入党することにしました」と語っています。別の青年教師は、「教師1年目が大変で、お世話になったS先生がいなかったら、今の自分はありません。S先生に誘ってもらったことがすごくうれしくて。『これからの日本を背負ってたつんや』と言われて、『私でよければ』とあっさり入党しました。入党をすすめた先生から『他にも党員がいるが、誰かわかるか?』と聞かれ、『匂いでわかる』と(笑い)、『F先生とN先生』だと答えたら当たっていました(笑い)。『こんな先生になりたいな』と思っていた先生はみんな党員でした。だから『ここで勉強したら間違いない』と思いました」。これは、本当に深い教訓を示していると思います。
自治体分野でも、1カ月平均の党員拡大数が「大運動」前と比較して1・7倍に前進しています。大震災の体験をつうじて、「住民に役立つ仕事がしたい」という自治体労働者としての自覚と誇りが高まり、そうした活動の先頭に立つ日本共産党員を信頼して入党する経験が広がっています。
民間企業でも、医療・福祉分野でも、建設分野でも、どんな職場でも、誇りと使命感をもってまじめに働き、仲間を大切にする日本共産党員の姿を、労働者はきちんと評価してくれています。とりわけ、青年労働者は「あの人のようになりたい」と信頼を寄せてくれています。実際に、足を踏み出してみれば、こうした変化が実感され、職場での「結びつき」が「党としての結びつき」に発展し、入党者を迎えることにつながっています。はじまった前進への流れを、太い流れにしていこうではありませんか。
若い世代――正義感、知的な敏感さ、社会的連帯を求める動きに心を寄せて
第六に、若い世代の気持ちや願いにこたえた活動に大胆に取り組めば、この分野での前進は可能だということであります。
4中総決定は、「青年・学生分野は、わが党にとって広大な空白が広がる分野ですが、そのなかにも潜在的に日本共産党に関心をもち、共感・支持をよせている若者たちは、たくさんいることを強調したい」とのべ、党の総力を結集した取り組みをよびかけました。
この間、全国各地で、民青同盟が、学生を対象に、被災地ボランティア参加を大胆によびかけたところ、募集のビラを見て、これまでつながりのなかった学生から次々と申し込みがあり、「自分もなにか力になりたい」、「今の自分を変えるきっかけにしたい」などの思いで、被災地ボランティアの輪が広がる経験が生まれています。
5月20日に、大阪府党組織と民青同盟が共催で取り組んだ「青年トーク集会」は、800人が参加し、大きな成功をかちとりました。私も参加して、そこには若い世代のなかで新しい前進を切りひらく可能性と展望を示す、貴重な教訓があると感じました。
一つは、党府委員会が青年・学生問題を「党の総力をあげる」という姿勢にたって取り組んでみますと、地域、職場、各分野、地方議員など、党には青年・学生との多様な結びつきがあることが明らかになったことであります。
二つは、党の綱領路線が、若者にストレートにしみとおり、心をゆさぶる力をもっていることです。若者は、いま直面している問題の奥底にある、物事の本質、科学的世界観、歴史観の深いところに触れたとき、党への信頼を一挙に高めることを実感しました。
三つは、党が若者の悩みや苦しみ、要求を受け止める姿勢に立つことの大切さであります。私は、若者たちから、橋下・「大阪維新の会」の暴政への怒りをはじめ、不正を許さない正義感、知的な敏感さ、社会的連帯を求める温かい気持ちを強く感じました。私たちが「聞く力」を持ち、怒りや喜びを共有し、若者を心から信頼して接するならば、多くの若者の心をつかむことは可能だと思います。
みなさん。若い世代のなかでの活動で生まれている発展の芽に学び、それを党勢拡大の前進に結実させるために、4中総決定を指針に大いに奮闘しようではありませんか。(拍手)
党機関、予定候補者、地方議員が、「特別期間」の成功にむけ、大きな力を発揮しよう
党機関の指導水準を、質量ともに引き上げるために
報告の最後に、党機関、予定候補者、地方議員のみなさんが、「特別期間」の成功にむけ、大きな力を発揮することを、心から呼びかけたいと思います。
党機関が、その指導水準を質量ともに引き上げる努力をはかることは、「特別期間」を、全支部、全党員の参加する運動にしていくうえで決定的に重要です。そのためには、党員が党の綱領と政治路線に確信をもてるようにする政治指導、丁寧な一般指導とともに支部の置かれている条件におうじた懇切な個別指導、そのために非常勤幹部を結集し、補助指導機関の強化・確立をはかることなどが大切になってきます。この点で、全国で生まれている積極的な経験、教訓から大いに学びあいたいと思います。
報告では、党機関の体制が弱いところでも、中央委員会の決定を真正面からうけとめ、原則的な機関運営に努力し、支部と党員の政治的自覚を引き出す指導に情熱を傾けて取り組めば、前進できる経験が生まれていることを紹介したいと思います。
宮崎県南部地区委員会では、「大運動」に入って、5割を超える支部で、27人の新入党員を迎え、日刊紙、日曜版ともに連続前進をつくりだしてきました。そこには、地区委員会の指導と活動改善の努力が大きく反映しています。変化の契機となったのは、政治・情勢討議を重視してきたことにあったということです。地区委員長は「地区役員も支部の党員も、“日本共産党員として活動することは、かけがえのないこと”と胸に落ちることが、活動に立ちあがる基本だと思う。だから、『二大政党の破たん』とはどういうことか、なぜ『大運動』が提起されたのか、なぜ党員拡大が『根幹』かなど、中央の決定に示された党活動の基本点を繰り返し討議し、確信にする努力をつらぬいてきた」と報告しています。
岩手県宮古地区委員会は、常勤常任委員が1人もいません。東日本大震災で大きな被害をうけたこの地区が、「大運動」に入って、現勢比で10%を超える24人の新入党員を迎え、4中総決定の支部討議も早い段階で100%となっています。変化の転機となったのは、常任委員会を定例できちんと開くように改善したことにあったということです。常任委員会の体制は6人、地区委員長と副委員長の2人が議員であるため、常任委員会の流会はたびたびだった。しかし、救援オルグにきてくれたベテランの党員から、「忙しいからこそ、原則的な機関運営が大事だ」という助言をうけ、地区委員長が率直にうけとめて以降、困難はあっても定例の常任委員会、地区委員会総会を必ず開き、地区委員会総会は「ギリギリ成立」から「安定成立」に大きく改善したということです。これが大きな力となったと報告されています。
体制の弱いところでも、党活動の原則にたった活動に正面から取り組めば、必ず前進できる。一方で、地区の規模が大きく一定の体制があるところでは、それなりの苦労や悩みもあると思います。討論で互いに交流を深め、機関活動の改善と強化を大いにはかっていきたいと思います。
候補者の果たすべき二つの任務――活動を支える特別の体制をとる
候補者のみなさんに訴えたい。衆院比例予定候補が19人、小選挙区予定候補が232人、参院比例予定候補が5人、参院選挙区予定候補が11人――これだけの国政候補が日常的に活動しています。これは画期的な主体的条件であります。「特別期間」の成功のために果たすべき役割として、次の二つのことを候補者のみなさんに訴えたいと思います。
第一は、政治論戦の中心的担い手――それぞれの選挙区の「党の顔」として奮闘することであります。有権者は、何よりも、そこでがんばっている候補者の姿を見て、党を判断します。広い国民のなかに大きく打って出て、閉塞打開の展望を語り、国民運動の発展に力をつくし、日本共産党への信頼、みずからの政治家としての信頼をかちとりましょう。そのさい、党の路線と政策の基本をしっかり踏まえながら、紋切り型でなく、個性を生かし体験と実感を大切にし、自由闊達にのびのび楽しく活動することが大切であります。体験と実感という点では、候補者として活動していて、自分が怒りを感じた問題は、話せば相手にも怒りが伝わるものであります。自分が喜びを感じた問題は、話せばその喜びが伝わります。自分の実感を大切にして、伝えていくことがたいへん大事だと思います。そうしてこそ、国民から見て、党の魅力が輝いて、広がっていくことになるということを強調したいと思います。
第二に、すべての支部と党員が、「特別期間」にたちあがり、総決起をつくるうえで、候補者の役割、政治姿勢は決定的に重要となります。候補者のみなさんの目の色が変わり、その燃える決意がビンビンと伝わってこそ、全体を燃え上がらせることができます。党と後援会をひっぱっていく役割を、ぜひとも候補者のみなさんが発揮してほしい。
「『大運動』の目標総達成の特別期間」を成功させるために、候補者のみなさんが、党支部、党機関と心を一つに、大奮闘することを心から訴えるものであります。(拍手)
あわせて、党機関が、候補者との定期的な懇談、演説の懇切な援助、生活と健康の相談、学習の時間保障を必ずおこない、候補者の意見や要望をよく聞き、「心の通い合う」関係をつくる意識的努力をはかることを、お願いしたいと思います。
中央委員会としても、候補者の活動を支える特別の体制をとり、演説や活動の参考になる資料・情報の提供、候補者活動の悩みの相談をはじめ、一体になってたたかうことをお約束したいと思います。(拍手)
いまわが党には、全国でがんばっている2748人の地方議員がいます。草の根で住民と結びついて信頼を築いている地方議員のみなさんは、党の顔であり、党の宝であります。地方議員のみなさんが、支部とともに「特別期間」の成功のために、牽引(けんいん)車として奮闘されることを心から訴えるものであります。
この間、労組・団体などの党グループが、積極的な「大運動」目標をもち、支部と連携して5人、10人と新しい党員をむかえる経験が生まれています。「特別期間」を成功させることは、総選挙勝利はもとより、その組織の発展にとっても大きな力となります。党グループのみなさんが、日頃の要求実現の活動をつうじて、組織や団体構成員から厚い信頼を受けていることを生かして、積極的なイニシアチブを発揮し、推進力の役割を果たすことを心から訴えるものであります。
閉塞打破する力を持つ党への成長は、国民的意義をもつ大事業
「特別期間」を成功させ、いまの閉塞状況を打ち破る実力をもつ党に成長し、総選挙で躍進をかちとることは、それ自体が、国民に明るい展望を示すことになる、国民的意義をもつ大事業であります。
みなさん。その責任をしっかり自覚して、がんばろうではありませんか。強く大きな党をつくりあげ、自らの力で風を起こし、総選挙で必ず躍進をかちとろうではありませんか。(拍手)
以上をもって、幹部会を代表しての報告といたします。ともにがんばりましょう。(拍手)