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2012年5月23日(水)

論戦ハイライト

消費税増税 家計も経済も壊す

衆院特別委 佐々木議員の質問

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 22日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、総括質疑に立った日本共産党の佐々木憲昭議員。消費税増税押し付けのまやかしと害悪が浮き彫りになりました。


社会保障に回らず削減次々と

佐々木 7兆円どこに消える

岡田副総理 国債などに置き換わる

 野田佳彦首相は、消費税増税分を「全額社会保障財源化する」と説明しています。

赤字穴埋めに

 佐々木氏は、2015年に年金・医療・介護・子育てに使われる社会保障経費に、消費税増税分を加えると48・3兆円になるはずだと指摘。ところが、小宮山洋子厚生労働相は「41・3兆円程度と見込まれる」と答え、差額の7兆円が社会保障に回されないことを明らかにしました。

 佐々木氏が「おかしい。7兆円はどこに消えるのか」とただすと、岡田克也副総理は、赤字国債分などに「置き換わる」と認めました。

 佐々木氏は、みずほ総合研究所が「消費税の(社会保障)目的税化は、引き上げを容易にするレトリックにすぎない」と指摘していることにふれ、こうただしました。

 佐々木議員 消費税増税の多くが財政赤字の穴埋めや大企業への法人税減税、八ツ場ダムなど無駄な公共事業の復活、米軍への「思いやり」予算に回ることになる。

 岡田副総理 公共事業や思いやり予算をどう組むかは政府の判断だ。

 佐々木 他の財源に回っていくということを事実上認めた。

国民負担は増

 佐々木氏は、増税分のうち6・5兆円を社会保障に回すとしていることについても「マユつばだ」と追及。この中には増税に伴う支出増などが入っています。しかもこれとは別枠で年金の削減、年金・医療・介護の保険料引き上げ、復興増税、子ども手当削減など、社会保障の改悪のオンパレードになっていることを示し、こうただしました。

 佐々木 家計から見ると(負担増は)20兆円にのぼる。

 岡田 年金減額は物価が下がった分下げるということだ。やらないと将来世代のやりくりがつかなくなる。

 佐々木 (20兆円の負担増になるという)数字を否定できなかった。理由を述べたにすぎない。年金については、物価が下がっても高齢者の生活を支えるため年金を下げないと決定していたのに下げる。このやり方が間違っている。20兆円は過去最大の負担増だ。

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佐々木 景気の足引っ張る

首相 風邪のときは、いけない

 消費税増税で家計はどうなるのか―。佐々木氏は、高齢者とサラリーマンの家計実態をパネル(図参照)で示しました。

 高齢者世帯は、2000年には収入と支出がつりあっていました。しかし、11年には年金減少などで1カ月3万5千円もの大赤字に。貯蓄を取り崩しながら不安な生活を送っています。

 佐々木議員 こんな状態なのに消費税が引き上げられたら年10万円以上も支出が増える。どうやって生活しろと言うのか。

 岡田克也副総理 確かに高齢者の状況は非常に厳しい。

 岡田氏が「みんなでわかちあわないと」と言い訳したことに対し佐々木氏は、サラリーマン世帯の家計も、賃金減少と負担増で可処分所得は月4万3千円も激減していると迫りました。

 佐々木 消費税を増税すれば収入の4分の1が税と保険料負担で消えてしまう。

 野田佳彦首相は「実収入が落ちこんでいる」と認めました。

 大和総研は「一体改革」によって実質可処分所得が4・7〜9・23%減少すると報告。日興証券の増税影響試算も14年から経済成長は「マイナスに落ち込んだまま戻らない」と予測しています。

 佐々木氏が、「負担増が消費を引き下げ、景気の足を引っ張るという認識がないのか」と迫ると野田首相は、「一体改革」で、「将来の不安をなくすことで財布のヒモがゆるみ、経済が活性化される側面がある」と答弁。

 実際には社会保障を切り捨てていながら、国民が消費を増やすなどという無責任な主張を展開しました。

 佐々木氏は、野田首相自身が、1997年の消費税率引き上げについて、“風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にした”(別項参照)と本会議でのべたことをあげ、同じことを繰り返すのかと追及しました。

 佐々木 冷え込んだ家計から20兆円も購買力を奪う。97年の9兆円と比べても大きな衝撃を国民生活と日本経済に及ぼす。

 首相 (97年の)教訓は、風邪を引いた時はやっちゃいけないということだ。

 佐々木 今、国民は風邪をひいて寝込んでいる。冷や水を浴びせるようなことをやったら、当時よりひどい結果になる。


野田首相の発言

 「うそで顔を塗り固めている方が総理大臣だったころ、消費税を上げ、医療費を引き上げ、定率減税を引き下げて、風邪から治りかけていた日本経済を肺炎にしてしまいました」(05年1月25日、衆院本会議)

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佐々木 大企業ほど税負担軽い

安住財務相 数字はそうだ

 政府は消費税を10%に引き上げる一方、大企業の法人税(国税)は2015年に30%から25・5%に引き下げます。

 佐々木氏は「税は所得や利益に着目し、負担する力に応じて課税するのが基本だ」と指摘。大企業はいまでも株式配当や海外子会社の納税控除、連結納税などさまざまな優遇を受け、実際の法人税負担率が実効税率よりも低くなっているとして、「なぜ引き下げるのか」とただしました。

 佐々木氏が、企業規模が大きくなればなるほど税の負担率が軽くなっていること(グラフ(1))を告発すると、安住淳財務相は「(大企業は負担)比率は低いが納税の額が違う」などとすり替えるのが精いっぱい。さらに佐々木氏が、この15年間では軽減税率が適用されている中小企業よりも低くなっている(グラフ(2))と迫ると安住財務相は「数字自体はそうだ」と反論できませんでした。

 佐々木氏は、賃金の抑制、下請け単価たたきで大企業は266兆円の内部留保をため込んでいると告発(グラフ(3))。白川方明日銀総裁も「大企業は資金は潤沢。問題は資金を使う場所がないこと」と認めているとして、こう追及しました。

 佐々木 内部留保を労働者に還元し、国内投資を増やす方向に切り替えるのが経済政策の基本だ。

 財務相 内部留保は増加傾向にある。雇用拡大や設備投資に回すべきだというのはわかる。

 首相 雇用に回してほしいと経済団体にも強く要請した。

 野田首相も安住財務相も佐々木氏の提起を認めざるをえません。佐々木氏は「現実には非正規雇用は増えっぱなし、設備投資も低迷しっぱなしだ」と指摘。それどころか、経団連は、消費税を2025年に19%に引き上げ、法人実効税率を下げるよう求めていると批判し、「今やるべきことは、国民の消費を拡大させる方向に経済政策を根本的に転換させることだ」と強調しました。

 佐々木氏は、まず大企業や富裕層に応分の負担を求め、国民の所得を増やす経済改革を行いながら、「応能負担」の原則に立つ日本共産党の「提言」を紹介。「これらの財源対策を実施すれば、消費税増税によらなくても社会保障を拡充し、財政危機を打開できる」と強調しました。

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庶民の気持ち代弁 質問に反響

 「やっぱり共産党だ」「立ち位置が国民の側にあり、論理明快で腹にストンと入った」―。日本共産党本部には、テレビでも中継された佐々木憲昭議員の総括質疑(22日)に電話やメールなどで相次いで感想が寄せられました。

 「共産党支持ではなかった」という神奈川県の年配の男性は、質問を聞いて「消費税増税のからくり、大企業の税負担の低さ、内部留保の大きさを初めて知り、たいへん驚いた。共産党を見直した」といいます。「立場は違うが」と断りつつも支援を約束しました。

 寄せられた感想では「野田政権がいかに大企業の代弁者かよくわかった」(横浜市の男性)、「答弁する大臣と佐々木さんの差が歴然」(東京都の男性)との声が続々。安住淳財務相の答弁には大阪市の40歳の男性から「法人税や人件費を上げることが悪いことかのようにいうけど、法人税すら納税できない赤字中小企業や労働者の暮らしなんて全然考えていない」と憤りの声が寄せられました。

 一方、質問に立った佐々木氏には「庶民の気持ちを代弁してくれた」(埼玉の年配の男性)と共感が広がりました。この男性は「民主党が自分たちだけ政党助成金をもらって庶民に負担を押し付けるのは許せない」と「一時応援していた」という共産党をもう一度応援することを伝えました。


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