「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年5月23日(水)

主張

NATO首脳会議

「戦争終結」の保証はない

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 アフガニスタンに派兵する北大西洋条約機構(NATO、米欧など28カ国が加盟)の首脳会議が、2014年に治安権限をアフガンに移譲した後も、訓練や顧問の名目で駐留を続ける「新任務」を盛り込んだ方針を採択しました。

 アフガン戦争を「責任をもって終わらせる」(オバマ米大統領)とのふれこみにもかかわらず、かたちを変えて軍事介入が続く危険があります。和平には外国軍の一刻も早い撤退が不可欠です。

派兵継続に批判

 NATOは前回10年の首脳会議で、14年末までの治安権限の移譲を決めました。今後なお2年余も戦争を続けるという方針は、派兵継続に対する各国民の批判を招き、加盟国はいずれも困難を抱えています。兵士の犠牲だけでなく、財政的にも負担に耐えられないのが実情です。とりわけオバマ大統領にとっては、「戦争終結」にめどをつけることが再選への不可欠の条件となっています。

 一方で、外国軍撤退後の治安の悪化に懸念が高まり、軍事と財政の両面でアフガンへのてこ入れが必要だとする見方が、各国首脳の間に強まっています。米国は今月初め、治安権限の移譲後も米軍の駐留を認めた協定をアフガンと結びました。首脳会議の決定は、従来の国際治安支援部隊(ISAF)に代わる「新任務」と位置づけることで、NATO諸国が派兵を継続するものです。アフガン治安部隊を前面に立てながらも、新たな計画で米国主導の軍事介入が際限なく継続しかねません。

 戦争継続には問題が山積しています。NATOにとってもっとも重要なパキスタンを通じる補給ルートは、NATO部隊による“誤爆”に反発したパキスタンが閉鎖を続けています。フランスのオランド新大統領は、同国の戦闘部隊を今年中に撤退させる方針です。

 アフガンの紛争を軍事手段で「解決」することはできません。首脳宣言自体が、「(アフガン主体での)和解と国民融合をはじめとする政治過程こそ平和で安定したアフガンをつくるカギだ」と指摘した通りです。

 アフガンのカルザイ政権と反政府武装勢力タリバンとの交渉は進んでいません。アフガン治安部隊が各国のてこ入れでタリバンとの戦闘を続ければ、和平への手がかりも得られないことになります。

 戦争の継続に道を開いた首脳会議の決定は、自らの指摘さえ掘り崩すものです。

 首脳会議が採択した「防衛態勢見直し」は、核兵器を抑止力の「中核」だとし、NATOは「今後も核同盟であり続ける」と宣言しました。核兵器に固執し続ける姿勢からも、今日残る唯一の多国間軍事同盟であるNATOが、世界の平和と両立しないことは明らかです。

日本が肩代わりに

 今回の首脳会議には、日本から玄葉光一郎外相が出席し、7月の東京会合をはじめアフガンへの支援を続けると表明しました。アフガン問題の根底には大多数の国民の圧倒的な貧困があり、そこへの支援は必要です。

 しかし、各国が財政困難に直面するなかで、「日米同盟」を背景に支援を肩代わりし、治安分野にも拡大することは、日本国民だけでなくアフガン国民も求めるものではありません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって