2012年5月21日(月)
改憲派
国会での論議進める動き
衆参両院に設置された憲法審査会が昨秋に始動したのを契機に、改憲派が国会での改憲論議を進める動きを強めています。
参院憲法審査会の小坂憲次会長(自民党)は16日の記者会見で、自民党が4月末にまとめた改憲草案などを衆参両院で審査したいとの考えを表明。「衆院と役割分担し、各党の意見はどちらかで表明すればいい」と述べ衆院側との意見交換を要望しました。
民主党審査会メンバーの一人は「松井孝次(民主)、川口順子(自民)両幹事の間で話を進めている」と述べますが、改憲派有力議員からは「あの草案をそのまま国会に出してもまとまらない」との声も出ています。
衆院憲法審査会では、公明党の赤松正雄議員が17日の同幹事懇談会で、「憲法改正を前提としない調査と、改憲原案の議論をつなぐ、明文改憲の要否を明らかにするステージが必要」だと主張し、憲法の各章ごとに意見表明を行うことを提案。自民、民主が賛成しました。
日本共産党の笠井亮議員は「現行憲法の検証は、憲法の諸原則にてらして実態がどうなっているかという観点から行われるべきだ。改憲前提の議論の場にしてはならない」と主張。公明党とこれに賛同した自民、民主の各党も、各章ごとの意見表明は行うものの「改憲の要否の検討」について取り下げざるを得ませんでした。
憲法審査会の設置と同時に制定された改憲のための国民投票法は、投票年齢など法律の核心部分が未整備です。民主党議員の一人も「国民投票ができないのに改憲論議を進めるのは、ただのパフォーマンス」と指摘します。国民投票法の存続そのものが問われる事態のもとで、改憲論議をなし崩しで進めることなど許されません。