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2012年5月19日(土)

主張

この夏の節電

社会と生活見直すきっかけに

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 野田佳彦政権がこの夏の電力「不足」に対応するため、電力消費を関西電力管内では猛暑だった2010年に比べ15%、九州電力管内では10%、北海道、四国は7%、中部、北陸、中国は5%節約するなどの目標を決めました。

 東日本大震災で東京電力と東北電力の原発などが大きな被害を受けた11年と違い、全国の原発が事故や定期点検で停止しているもとでの計画です。無謀な原発の再稼働を押し付けるのはやめさせ、節電を社会と生活を見直すきっかけにしていくことが重要です。

深刻になりすぎず

 政府は先にこの夏の電力需給について、関西電力管内では20%程度、九州電力管内では12%程度、それぞれ「不足」するとした見通しをまとめました。今回の節電目標は、電力が「不足」する関西電力に西日本の各電力会社から融通することとし、電力に余裕がある中部、北陸、中国の電力会社にも節電を求めました。関西や九州、北海道、四国では、計画停電の準備も求めています。

 電力が「不足」するといっても、それはこの夏が一昨年のような猛暑になればという前提つきです。しかも電力の需要がピークになり「不足」が生じる可能性があるのは真夏の短い期間で、ビルなどの冷房がいっせいに使われる数時間です。電力「不足」に深刻になりすぎることはありません。

 東京電力や東北電力で大幅な電力「不足」が懸念された昨年は、一昨年ほどの猛暑にならず節電が行われたこともあり、電力不足は起きませんでした。企業や家庭でピーク時を中心にした節電を工夫しながら、そのなかでも高齢者や中小業者がしわ寄せを受けないよう、配慮することが大切です。

 重要なのは、節電をきっかけにエネルギー浪費社会を、根本から見直すことです。いまの日本社会は工場では昼夜交代での連続作業が行われ、あらゆる分野で夜中まで働かされる社会になっています。夜中まで働かされる人が増えれば、商業や交通の夜間サービスも拡大し、深夜労働とエネルギー消費が増えます。こうした悪循環をやめさせ、社会のあり方そのものを見直し、働き方そのものもゆとりのある低エネルギー社会へ転換していくことが求められます。

 この夏の節電が、全国に50ある原発がすべて停止している中で行われることは見過ごせません。政府や電力会社は原発の再稼働を画策していますが、電力不足の問題と、いったん事故が起きれば国民に重大な被害を及ぼす原発の安全性とをはかりにかけることは許されません。原発の再稼働は押し付けず、原発からの撤退をこそ決断し、自然エネルギーの本格的な導入を急ぐべきです。

原発再稼働は論外

 この夏、電力がもっとも「不足」するかもしれないといわれる関西電力が、国内の電力会社でもっとも原発への依存度が高い電力会社だったことは象徴的です。政府や関電は、大飯原発3、4号機を再稼働させれば電力「不足」が解消できるような試算を示しましたが、電力「不足」で脅して再稼働を押し付けるなど言語道断です。

 東京電力福島原発事故の原因究明も尽くさず、原発の「安全」対策も避難計画も見直さず、規制機関も確立しないままの原発再稼働はまさに無謀のきわみです。


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